Tottori City News Letter   
とっとり市報2013年2月
    

特別対談 谷口ジロー × 竹内 功
郷土のために漫画ができること

昨年11月11日(日)、鳥取市出身の世界的漫画家であり、本市の漫画イベントにゲスト参加のため帰郷された谷口ジローさんと、竹内市長が、本市の漫画文化の将来を見据えながら、それぞれの思いを語り合いました。

谷口ジローさんと鳥取市長
対談場所:さじアストロパーク

作品の世界的評価

竹内 昨年、フランス文化勲章シュヴァリエを受章されました。鳥取市出身である先生のご活躍は、我々の誇りです。作品が海外から高い評価を得ていることについて、どのようにお考えですか。
谷口 想像しなかったことなので、夢のようで信じられない気持ちです。
 海外の読者は、普段漫画を読まない人でも私の漫画を読んでくれていると聞いています。特にヨーロッパの人には読みやすいのかと思います。日本の家族、食の話も描いているからでしょうか。
竹内 どんな作品が特に評価されているのでしょうか。
谷口 一番は『遥かな町へ』、その次に『父の暦』です。『遥かな町へ』は映画や舞台化されているところが理由だと思います。

『父の暦』(c)谷口ジロー/小学館
『父の暦』(c)谷口ジロー/小学館

「遥かな町へ」日本初上映

竹内 日本より前にフランスで『遥かな町へ』が映画化され、今回、本市の取り組みで、日本語字幕をつけて鳥取で日本初公開されました。『遥かな町へ』が映画化され、最も海外で読まれている点はどうお感じですか。
谷口 『遥かな町へ』は、『父の暦』と違ってファンタジーの要素があって、物語にドラマというか起伏がある点が多く読まれている理由かも知れません。映画化したいという話から、さまざまあって途中で駄目になるかもしれないと思いましたが、5年経ってから映画を撮ることが決まり、私もロケ現場に招待され、背景となる町を見ました。すごく美しい町で、素晴らしい映画になるんじゃないかと感じました。
竹内 今回上映した『遥かな町へ』フランス版( 日本語字幕付き)は、2月下旬にDVDとして全国発売する予定です。ぜひ、全国のみなさんに見ていただきたいですね。

映画ポスター ・シュヴァリエとは…
 1957 年に創設された、フランス共和国文化省より与えられる勲章。芸術や文学の分野において功績を上げた人物や、フランス文化に貢献した人物が叙勲の対象となる。等級はシュヴァリエ(騎士)、オフィシエ(将校)、コマンドゥール( 騎士団長)の3段階。過去に、漫画家では大友克洋氏、鳥取出身者では故・植田正治氏が叙勲している。
『遥かな町へ』(フランス版)の映画ポスター


鳥取発の漫画文化

竹内 漫画の文化を鳥取の一つの特徴とし、特色ある資産として情報発信に取り組んでいることについて、どのようにお考えですか。
谷口 漫画家は本当に閉じこもって少人数で仕事をする職業です。まんが博などの開催は全く想像していませんでしたが、漫画が地域の発展に役立つのかなということは、少しずつ感じてきました。
竹内 鳥取には東・中・西部と全国的に著名な漫画家がおられますので、これは継続的な取り組みにしていきたいと思っています。
 漫画は、日本が持つ独特の文化です。鳥取からこうした取り組みを行っていくことは、価値のあることと考えてよいでしょうか。
谷口 そうですね。米子市で開催された国際マンガサミットで、鳥取や倉吉にも行ってきたという韓国の方がいました。その方が次の人に話をして、また来てくれるんじゃないかと感じましたね。
竹内 なるほど。地域の活性化につながることだと感じますし、今後も発信を続けたいと思います。 今回は3回目となる原画展でした。映画『遥かな町へ』の上映会、鳥取市マンガフォーラムと、一連の活動を体験されて、どんな感想をお持ちでしょうか。
谷口 原画を展示をしてもらったり、フォーラムに出たり、鳥取市の力で翻訳されて映画が上映できたことは、本当に感謝しています。興奮が冷めてからだと色々考えられると思いますが、今は本当にありがたい気持ちで一杯です。
竹内 ありがとうございます。先生からそう言っていただけて大変うれしく思います。フォーラムなども1回で終わるのではなく、継続することで市民の関心の輪が広がると思います。

DVD『遥かな町へ』フランス版 『孤独のグルメ鳥取編』(c)久住昌之/谷口ジロー/ 扶桑社
DVD『遥かな町へ』フランス版
発売日:2月27日(水)
※鳥取県内は2月20日(水)
価格:2625円(税込み)
発売元: 小学館集英社プロダクション
販売元:メディアファクトリー
『孤独のグルメ鳥取編』(c)久住昌之/谷口ジロー/ 扶桑社/市役所食堂のスラーメンの緻密な描写が話題になった

若手漫画家との交流

竹内 他の漫画家との交流はいかがでしたか?
谷口 鳥取出身の若い漫画家が増えてきていて、これからは私だけに限らず、鳥取で活躍されている岩田廉太郎さんやいろんな方の力を借りて、何かできるような予感がしました。
 何かをずっと続けていくためには、やはり若い人や新しい漫画家に声をかけて、どんどん発展していくことが大事だと思います。
竹内 ふるさと鳥取の地から漫画文化の情報発信をしていけるよう努力をしていきたいと思っていますので、今後も鳥取県内の漫画家のみなさんで、ネットワークを広げていただければと思います。
谷口 なかなか漫画家というのは外に出なくて、人との交流が苦手な方なので、若い人たちにはもう少し交流の場を提供できればどうかなと思います。

ギャラリー1ギャラリー2
昨年ギャラリーそらで開催された原画展III

Taniguchi Jiro

竹内 さじアストロパークが発見した小惑星に「Taniguchi Jiro」と命名したことが、2012年2月7日、最終的に世界の天文学の機関で承認されました。谷口先生も喜んでおられると聞いております。
谷口 まさか自分の名前が星の名前になるなんて。喜びの気持ちをどう表現してよいかわかりません。知り合いからも大変なことだよって言われたのですが、いいんだろうかと考えたりもしました。本当にびっくりしています。

アストロパーク
さじアストロパークの望遠鏡をのぞき込む谷口さん

今後の構想

竹内 鳥取の地で『父の暦』の映画化をと思いをはせている方がたくさんおられますが、これに関してはいかがでしょうか?
谷口 映画化が決定するまでには長い時間がかかることは『遥かな町へ』で体験しましたので、そう簡単にできないことは分かっています。ただ、映画化されたら自分にとって最高のことだと思いますし、期待しています。
竹内 本市では、全国に向けての情報発信や漫画を活かした文化振興として、鳥取市東部を舞台にしたストーリーを募集し、入賞作品は鳥取出身の漫画家によって作画され、漫画短編集として出版する事業を実施しています。これについても、またご協力をいただきたいと思っております。
谷口 審査委員長ということで、ストーリーを漫画の形にする編集作業など、難しいかもしれませんが、はじめの第一歩の試みとしてやっていきたいと思います。
竹内 最後に鳥取のみなさんにメッセージをお願いします。
谷口 自分の漫画がこんな形で大きく取り上げられて、少しでも鳥取の発展に役立てることは、すごく嬉しく感じています。まんが博みたいなものが、鳥取で定着されることを期待しています。
竹内 ぜひ、これからも長く活躍していただき、鳥取にとっても、日本の漫画文化にとっても、大きな足跡を残していただくことを心からご期待申し上げます。

特別対談の模様をいなばぴょんぴょんネットで放送!
 日時:2月5日~9日、各日14:00~


漫画家 谷口ジロー さん
 昭和22年鳥取市元魚町二丁目生まれ。鳥取商業高等学校を卒業後、県外で就職。仕事のかたわら漫画を描き始め、昭和46年「嗄れた部屋( ヤングコミック)」でデビュー。以来、多くの作品を発表し、現在に至る。その作品は、国内だけでなくアメリカ、フランス、スペインなど海外でも出版され、国際的にも高い評価を得ている。2011 年、フランス政府芸術文化勲章シュヴァリエ章を受章。

谷口ジローさんの主な作品
谷口ジローさんの主な作品


問い合わせ先
本庁舎文化芸術推進課
TEL:0857-20-3226
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