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元気です 136

オペラって楽しい!
ムジークテアター
TOTTORI合唱団
写真:練習の様子

楽譜が読めなくてもいい

「もっと気持ちを込めて歌って~」と、身振り手振りで指導にあたる演出家、宮永(みやなが)あやみさん(42)は、現在オーストリア・ザルツブルク在住。1999年から10年ほど鳥取市で市民ミュージカルなどを主宰した後、演出の勉強のため渡欧。ドイツで主流の、『ムジークテアター』(ドイツ語で音楽劇という意味)に心を奪われる。ムジークテアターは、伝統的なオペラを現代風にアレンジしたもので、日本ではまだあまり浸透していない。

宮永さんは、純粋な土地柄の鳥取は自由な表現ができ、一番自然な感性で観てもらえる所だと感じ、鳥取でムジークテアターを行いたいと鳥取時代の知人らに声をかけ、昨年夏「ムジークテアター・TOTTORI」を結成した。「歌に自信のない方大歓迎です。まずは入ってきて!」と、市民合唱団を募集したところ、高校生から60代までさまざまな職業のメンバーが集まり、現在は40人ほどになった。経験者もいるが、半数以上が全くの初心者だったという。

「カラオケが得意だから」と友人に誘われて参加した岡垣俊範(おかがきとしのり)さん(64)は「楽譜は読めないが楽しい。仲間ができ、練習後の飲み会も最高」と、満面の笑みで語る。

歌うのは小学校以来というのは藤田充(ふじたみちる)さん(60)。「大きな声を出すと気持ちいい。元気になる」と、今では音楽が生活の一部になっている。

谷口規子(たにぐちのりこ)さん(27)は、中学生時代宮永さんのもとでミュージカルをしていたことがきっかけで、音楽科のある大学へ進学した。「オペラは奥が深く楽しい。この合唱団では自分のやってきた音楽を仲間と一緒に形に出来る喜びがある」と、やりがいに満ち溢れている。

熱心に指導する宮永さん
熱心に指導する宮永さん

鳥取人はオペラ向き!?

8月3日の初公演に向けて結成時から重ねてきた練習も、現在大詰め。公民館などでは毎週末、合唱団の歌声が響いている。初めは上手く音がとれず、緊張してなかなか声が出ない姿もあったとか。

練習法は、パートごとに録音したテープを一人ひとりに配付し、それを通勤途中や家で繰り返し聞く「聞き覚え」が中心。今では、みんなが堂々と歌声を響かせている。海外に身を置く宮永さんは、メンバーにオペラを身近に感じてもらおうとウェブカメラを活用して、オペラの歴史や作品、作曲家について何度も語って伝えた。宮永さんが帰国した5月からは、舞台を想定して演じながら歌う立ち稽古が始まり、練習に一層力が入る。

「鳥取は面白いものを面白いと素直に感じてもらえる人が多い土地です」と宮永さん。メンバーとの練習を通して「鳥取の人は控えめな性格と言われるが、心の奥底に燃えるものを持っている」と確信した。「みんな本当はやりたかったんだ!熱心だし、とても教えがいがある」と強く語る。

ドキドキの初公演!

『オペラってなんだいな?ちょっぴり贅沢コンサート』と題したこの夏の初公演。キャストは、鳥取市出身で現在ドイツやオーストリアの劇場で活躍中の歌手、谷口伸(たにぐちしん)さんと藤田俊介(ふじたしゅんすけ)さん、鳥取県声楽オーディション知事賞受賞の浦池佑佳(うらいけゆか)さんに加え、ドイツなどで活躍中のルーベン・ゲルソンさん、キム・ヘヨンさんという豪華な顔ぶれだ。

一流の歌手たちと同じ舞台に立つ合唱団のみなさんは「緊張します。でも楽しみです」と興奮交じりに話す。

このコンサートの大きな特長は、宮永さんたちが楽しく分かりやすく曲の解説をしながら進めていくところ。19世紀初頭のロシアを舞台にした『エフゲニー・オネーギン』(チャイコフスキー作)の公演では、設定を昭和期の鳥取に置き換えて日本語で演じる。

「オペラは“するめ”です」と宮永さん。「噛めば噛むほど味がでる。知れば知るほど魅力を感じる。初めてオペラを見るという人にも来てもらいたい」と呼びかける。

童謡・唱歌のふるさと鳥取市で、新たなオペラ『ムジークテアター』の幕が開く。8月3日、どのような公演になるのか。宮永さんをはじめ、合唱団員も期待に胸を弾ませる。

メンバー手作りの新聞
メンバー手作りの新聞で活動やオペラの魅力を伝えている
ちょっぴり贅沢コンサートポスター