旬を感じる鳥取の白いか

季節は夏。鳥取の旬の食材『白いか』のおいしい季節です。身が柔らかくモチっとしており、味はトロっと甘くて濃厚。県外からこの味を求めてやってくる人も多く、白いかはまさに郷土を代表する食材の一つです。この時期の日本海には、いか釣り漁船がたくさん出漁。夕日が沈み、暗くなるにつれて浮かび上がってくる漁火は、見る人を幻想的なムードに引き込みます。

問合せ本庁舎広報室 電話0857-20-3132
写真…活白いかの姿造り(右)、白いか丼三刀流(左下)
取材協力…天然海水いけす海陽亭(賀露町西3-27-1・鳥取市地産地消のお店認定店)
鳥取の「白いか」の分類
ケンサキイカブドウイカ
胴の長さ 40~50センチまで成長35センチ程度まで成長
肉質・味柔らかくモチモチチしており、甘み、旨味が強く濃厚 ケンサキイカよりも柔らかさ、甘みが一層強い
棲息場初夏は水深20~40メートル程度、それ以降は水深90メートル程度の沿岸に棲息 9月頃、水深90メートル程度の沿岸に棲息

実は2種類存在します

いかの呼び方は地方によってさまざま。鳥取で『白いか』というと一般的に「ケンサキイカ」のことだと思われています。しかし、秋になるとケンサキイカより少し小ぶりでずんぐりとしたいかが姿を現します。これは「ブドウイカ」といういかで、こちらも区別されることなく「白いか」と呼ばれています。

白いか漁が盛んになるのは6~9月。初夏は、水深20~40メートル程の沿岸で、大型の白いかが多く水揚げされます。それ以降は、小ぶりな白いかが水深90メートル程度の沿岸でおおく水揚げされます。

白いかの食べ方は、なんと言っても刺身が一番。ショウガ醤油につけて食べるのが鳥取流です。口いっぱいに広がる濃厚な甘みは、鳥取自慢の味。地元に限らずたくさんの人を魅了します。もちろん天ぷらや炒め物などもとてもおいしくいただけます。

釣り方もいろいろ

白いか漁には「スッテ」という魚のお尻に(かぎ)が付いた仕掛けを使います。手釣り・竿釣り、水深が深い場所では自動いか釣り機を用いることもあります。最近では、餌木(えぎ)というエビの形をした疑似餌を用いる「エギング(餌木ing)」という釣り方もあります。これは、ルアーフィッシングのような感覚で釣ることができ、遊漁船の利用客に好まれている釣り方です。

漁火の光源である「集魚灯(しゅうぎょとう)」。いかは、集魚灯の放つ光に集まってくると考えられていますが、光を避けるために船底に隠れている、光に集まった小魚を食べるために集まってくるなど、その解釈はいろいろあります。

賀露を背負う若手漁師

廣坂冬爾さん(28)は、今年5月に独立したばかりの若手漁師です。大学時代に一度鳥取を離れましたが、23歳の夏、いか漁師である父親の船に乗り漁に出ました。「父親と漁に出るのは子どものとき以来でしたが『いか漁って面白いじゃないか!』とハマってしまいました」と、廣坂さんは言います。

「いか漁の魅力は思った通りにいかないところです。覚悟を持って漁師を継ぐと決めましたが、こんなにも夢中になるとは思っていませんでした」と廣坂さん。海流に乗っていかがどこに動いているのか、疑似餌をどう動かすか、いつどの深さを狙うかなど、毎日変わる自然を相手にいろいろなことを試すのが、何よりも楽しいそうです。

「若いということもあって、地域から見守られているなと思います。いかを獲ってくることが自分にできる恩返し。まだまだ新米なので、常に発見を求めて頑張りたいです」と、これからの漁師生活に意欲を見せています。

「白いかはお店で食べる高級なものというイメージがあるので、手軽に新鮮ないかが食べられる企画をやってみたい」と、廣坂さんは白いかの魅力をたくさんの人に知ってもらうための作戦を思案中。『にぎやかな漁師町・賀露』をめざし、廣坂さん今日も日本海へ出漁します。

いか漁師 廣坂 冬爾(ひろさかふゆじ) さん(28)

鳥取市賀露町出身。県外の大学を卒業後、鳥取市にUターン。ふるさとでいか漁師になることを決意した。3年間漁師である父親のもとで経験を積み、今年5月に自らの漁船「白蓮(はくれん)」の進水式を終え、独立した。

「これからの賀露を背負っていく存在」(県漁業協同組合 前田 紀久(まえだのりひさ) 課長)と、周囲からの期待も大きい。

釣りたての白いかは透明度が高い
切った瞬間身がキュッと引き締まるほど新鮮
夕方、家族や親戚に見送られながら白蓮が出港
スッテは1つの仕掛けに2~7個ほど付ける
集魚灯を点灯

手釣り、竿つりを仕掛けるかたわらで、エギングにより白いかを狙う廣坂さん
エギングは、あたり→巻き上げ→仕掛けがとても素早く行える