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元気です 137

みんなの心に響け!鈴の音!
障がい者音楽グループ
「ゆいま~る」
写真
観客も一緒になってステージを盛り上げる
ふれあい広場コンサート(6月16日、鳥取産業体育館)

傘踊りにチャレンジ

鳥取の夏といえば「しゃんしゃん祭」。今年で49回目になるこの祭りのメインイベントの一斉傘踊りに初めて参加する「ゆいま~る」。普段は沖縄の音楽を中心に地域のイベントや、福祉施設などでコンサートを行っている。

『ゆいま~る』とは沖縄の方言で、助け合いや絆という意味。音楽を通して共に優しい気持ちを持ってほしいという願いを込めて名づけた。メンバーは市内に住む障がいのある人をはじめ、教職員、看護士などおよそ30人。リーダーの県立鳥取養護学校の教員、森田桂介(もりたけいすけ)さん(36)は、沖縄県出身。大学進学のため鳥取へ。鳥取大学の大学院生の時、一緒に障がい児教育を学ぶ同級生3人と沖縄音楽を楽しもうと、バンド「ゆいま~る」を結成した。

大学のサークル「障害児教育研究会」で、養護学校の生徒と交流があった森田さん。コンサートを観にきた生徒から自分たちもやりたいと言われ、その場で飛び入り参加させた。それをきっかけに、コンサートの回を重ねる度にメンバーが増えていった。森田さんは、「音楽を通してみんなそれぞれが生き生きと自分が出せたらいいかな、そういう活動です」と笑顔で話す。

およそ2カ月に1回ステージに立ち、演奏する楽器は、沖縄の三線(さんしん)三板(さんば)(カスタネット)、パーランクー(小太鼓)をはじめ、ギター、ベース、キーボード、パーカッションなども使う。メンバーそれぞれ自分の好きな楽器を使い、思い思いに鳴らして演奏を楽しんでいる。

触れ合いが成長になる

写真暑い体育館の中、傘踊りの練習に励む

今年、ゆいま~るは結成10周年を迎えた。「最初は、ステージに上がって大勢の人の前に立つと、緊張したりパニックになったりでしたが、何度も舞台に立つうちに精神的にも強くなり成長しました」と話す森田さん。さらにうれしいことは、保護者の意識の変化だという。初めのころは、子どもが頑張っているのを微笑ましく遠くから見ているという感じだったが、今では、一緒になって楽器を鳴らしたり踊ったりと率先して楽しむようになった。森田さんは、「10年かけてみんなが一緒に楽しんで盛り上がるグループへと変わり、現在とてもいい形になってきた」と顔がほころぶ。

ひとつの節目を迎えた「ゆいま~る」。さらに活動の幅を広げていきたいと森田さんは、以前から出場してみたかった「しゃんしゃん祭」の一斉傘踊りへの参加を決めた。

初めは、保護者などから「踊りが覚えられないのではないか」「暑い中、長時間にわたるので難しいのではないか」といった不安の声もあった。森田さんとメンバーは、参加することに意味があると考え、自分たちのできることを精一杯やろうと、6月末から始めた踊りの練習にはほぼ全員参加している。傘を持つのも初めてというメンバーだが、みんなやる気は十分、祭りの日をとても楽しみにしている。森田さんは「精一杯自分を出してもらいたい。踊り終えらきっと自信につながるはず」と強く語る。

地域に出て行くことの大切さ、重要さをこの10年で感じたという森田さん、ひきこもりがちだったメンバーもステージに立ち、堂々と自分をアピールできるようになった。いろいろな人との触れ合いが成長につながると信じている。

みなさんに感謝

写真楽しく踊りを指導する森田さん

「ゆいま~る連」にはメンバーのほか、森田さんの同僚や生徒、他の障がい者グループなども加わり、およそ40人で参加する。 「傘踊りには来年以降も参加していきたいです」と森田さん。これからもさまざまなことにチャレンジしていく予定だ。

「地域の人にこういう子たちが一生懸命頑張っているという姿を見てもらいたい。理解にもつながる」と森田さんは話す。観客からの「温かい気持ちになった」「元気をもらった」という声がグループの原動力になっている。

森田さんが活動の中で常に感じているのは「すべての活動は一人ではできない」ということ。「いろいろな人たちに助けてもらい感謝の気持ちでいっぱいです」と微笑む。

助け合いと絆を大切にした「ゆいま~る」は地域に溶け込み、これからも人々の心に優しさを届け続けていく。

今年の一斉傘踊りの参加連は過去最大の100連。それぞれの連の想いをのせて、今年も華やかに開催される。「ゆいま~る連」はどんな踊りで楽しさを届けるのか。注目してほしい。