鳥取市を語るvol.18 -市政への提言-

東日本大震災経験後の防災対策の課題

写真 東日本大震災発生直後、鳥取市はいち早く災害応援隊を被災地へ派遣しました。

人の命を守る対策を最優先に

市長
東日本大震災を経験し、南海トラフ地震などの課題に直面していますが、どんな議論がなされているのでしょうか。
吉村
3・11大震災は、地震や津波という自然災害と原発震災という人為的な災害が同時発生しました。天災は防げませんが、人為的災害は、防げます。この地震の後、「想定外」と「未曾有」が、まるで免罪符のように使われましたが、巨大津波や原発震災は、想定されていながら、その対策を怠ってきたことが明らかになりましたし、「未曾有」は、「歴史上、かつて起きていないこと」を言いますが、平安時代にも同じようなことが起きています。今は、「想定外」と「未曾有」は禁句となり、自治体はあらゆる災害に対して、最大限の被害を想定しないといけなくなりました。従来は、防災対策といってきましたが、近年は、災害の規模をいかに減らすかという「減災対策」になっています。多少のケガは仕方ないけど、とにかく人の命を守る対策を最優先に考えるべきでしょう。

庁舎は市民の命を守る防災拠点

市長
防災対策拠点としての庁舎には、どのような機能を備えるべきでしょう。
吉村
庁舎は、あくまでも市民の命を守る防災拠点になり、司令塔にならなければなりません。一般の住宅や企業の施設より高い安全性が必要かつ不可欠です。「阪神淡路大震災」での神戸市役所や「3・11大震災」での三陸沿岸の庁舎を見るまでもなく、震度7クラスを超えるような揺れに耐えられなければ、地震発生後に災害対応を講ずることはできません。また、防災拠点は情報拠点も兼ねなければなりません。南イタリアで地震があったときに、情報が途絶し、デマが蔓延しました。なによりも情報が必要だと市民の方が取材に答えてましたね。ハリケーンなどアメリカの被災地では、ワンストップセンターが設置されます。水道、ガス、家の建て直しなど何の相談もそこで応じる。1カ所で話が全部済むんです。

正しい情報提供は自治体の使命

市長
我々は、災害に対してどのような備えをすればよいのでしょうか。
吉村
あらゆる災害に備えが必要ですが、ハード対策はお金も時間も足りません。まず、行政は市民に対して、危険地域をあらかじめ公表し、防災教育や避難訓練などを繰り返し、いざという場合は、いち早く避難を促すような情報を流す時代だと思います。これは行政の使命です。市民も行政も「避難に勝る防災なし」という気概を持つべきでしょう。
市長
減災のためには、正確な情報を把握し、市民に的確な情報を伝えることが必要です。これからの庁舎は、防災対策の中枢として情報の受発信機能を強化したいと思います。
写真:対談の様子
※対談内容を抜粋・要約して掲載しています。
対談者
ジャーナリスト
(一財)都市防災研究所理事吉村秀實(よしむらひでみ)さん
場所
スターバックスコーヒー ジャパン株式会社(都内)
対談日
平成25年8月1日(木)