鳥取市を語るvol.20-市政への提言-

「ものづくりの里」としての産地形成を

鳥取県内初の人間国宝に認定

市長
この度、国の重要無形文化財の保持者いわゆる人間国宝の認定を受けられました。どのように感じておられますか。
前田
僕は美術大学の時に磁器を知りました。磁器は、石の粉に水分を加えて粘土状にして作るんですが、粘土以上に色が白いんですね。それまで見たことのない焼き物に(あこがれ)をもち、故郷の河原に帰ってきて、とにかく白磁を作ってみたいと始めたんですが、うまくいかないところがありました。どうしたら魅力的な形ができるのかということで、面取りと言うんですが、指で押さえていって・・・
市長
指で押さえて作られるんですか。
前田
柔らかいときに親指で少しずつ全体を押さえて形を作るんです。乾燥してから磁器用のかんなで形にしていきます。人に教わらなかった分、新しい白磁の領域を作ったことで今回の無形文化財の認定をいただきました。
写真
白瓷面取壺(はくじめんとりつぼ)

陶器のような柔らかで温もりのあるグラデーションが美しい磁器

白磁を通じて若い人を育てたい

市長
これからの目標や夢を語っていただけますか。
前田
今回の認定は白磁をこの調子でやりなさいということと、若い人を育て指導してくださいということと受け取っていますので、これからも白磁をもっと深めて、作っていきたいと思います。白磁は、中国や韓国から日本に入ってきましたが、日本人にふさわしい白磁にしていくことが僕の仕事で、自分が気に入ったものを作ることが日本的な白磁を作ることだと思っています。器の形をした美術品という考え方は日本独自の文化なので、置いているだけで、彫刻のようなものに見える。そんな作品をこれから1点1点丁寧に作っていきたいと思います。韓国では、李朝白磁というすばらしい白磁が今も若い人に受け継がれていますので、いつか交流ができたらいいですね。
市長
行政がお世話できることもあります。これから、交流についても計画していただければうれしいですね。

西郷地域をものづくりの里へ

市長
鳥取市は文化を育てるのにいい環境に恵まれているように思います。
前田
文化は、人がいて作られていく歴史ですから、人が一番です。もう少し、工芸人口を県東部に増やしていけたらいいと思います。
市長
西郷の地域は、有力な工芸の里になるように思います。
前田
今3つ窯元があって、ガラス工芸の若い方も移住して来られました。ものづくりの里になるといいですね。空き家とかを斡旋するなど条件を整えていただき、いろんなものつくりの人たちが集まる、そういう新たな21世紀型の産地形成ができたらいいなと夢を描きながら思っています。
市長
鳥取市は地元の方々の協力もいただいてUターン・Iターンを積極的に進めています。前田さんの人間国宝認定を契機として、ものづくりの里の形成に取り組みたいと思います。
写真:対談の様子
※対談内容を抜粋・要約して掲載しています。
対談者
国重要無形文化財保持者
陶芸家 前田昭博(まえたあきひろ) さん
場所
やなせ窯ギャラリー
対談日
平成25年10月1日(火)