シリーズ
元気です

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子どものキラキラ
輝く瞳を見たい!

鳥取・森のようちえん
風りんりん

写真:徳本敦子さん
代表 徳本 敦子(とくもと あつこ)さん

写真:河上啓子さん
副代表 河上 啓子(かわかみ けいこ) さん

心配性ママが一変

鳥取市宮谷、山並みや田園風景が美しいこの地域に響く子どもたちの笑い声。『鳥取・森のようちえん 風りんりん』に通う子どもたちの声です。風りんりんは、今年4月12日に開園し、現在、7人の子どもたちが通っています。園舎はなく、里山や森林、川など、自然体験ができる場所全てがフィールド。子どもたちは、自然の中を散歩しながら植物採取やかけっこなどをして自由に遊びます。雨が降ろうが、雪が積もろうが自然の中へ出かけて遊ぶ。それが、風りんりんの特徴です。

写真:田んぼでカエルを発見
田んぼでカエルを発見

代表を務める徳本敦子さんは3児の母。過去に1年間、智頭町の「森のようちえん まるたんぼう」に子どもを通わせていました。「だめ、汚い、危ない、早く」をなるべく言わず、子どもが自力でやりとげるのを「待つ」という園の理念に共感。鳥取市に自ら森のようちえん 風りんりんを開園するに至りました。

「私は本当に心配性の親でした」と、徳本さんは自身を振り返ります。「危ないと思ったら止める」「けんかが始まれば仲裁する」など、誰もが「あるある」と思うことは、全てしていたそうです。徳本さんを変えたのは、まるたんぼうへの通園がきっかけ。子どもたちは、自然の中で過ごすことで風邪を引きにくくなり、泣き虫で甘えん坊だったのに、興味あることに突き進む力がついていきました。徳本さんは「子どもにはこんな大きな力があるのかと実感し、任せられるようになりました。すると、肩の荷がスッと降りたように感じ、子育てがすごく楽になりました」と語ります。「この感動を多くの人に知ってもらいたい」。この気持ちが、徳本さんを突き動かしました。

写真:山登り、落ち葉がふかふかで転んでも楽しい
山登り、落ち葉がふかふかで転んでも楽しい

河上啓子さんも3児の母。徳本さんとは保育園の保護者仲間でした。まるたんぼうに通った徳本さんの子どもの見違えた姿を見て、森のようちえんに興味を抱きました。徳本さんの誘いを受けて、風りんりんに携わることを決断。「けいちゃん」と子どもたちから親しまれ、お姉さん的な存在になっています。

河上さんは、「初めは坂道を登れず泣いていた子が、2回目はスイスイ登ったり、母親の後ろに隠れている子が1人で道を探し回るようになったりと、自立というものを実感しています」と、森のようちえんの力を語ります。

地域の支えで開園へ

「開園するために、何をしていいのかわからなかった」と徳本さんは言います。まず始めたのは聞くこと。知人、友人、まるたんぼうのスタッフにたくさん相談し、多くの助言を受けました。そして、昨年の10月から月に2・3回、親子が一緒に自然の中で過ごす「おさんぽ会」を実施。初めは1組の親子の参加だけでしたが、回を重ねるごとに参加者が増え、多い時では70人もの大所帯で自然を散策しました。「自然の中での保育に興味を持っている方がたくさんいる」と、徳本さんは手ごたえを実感しました。

写真:お腹が空いたらお昼ご飯!おにぎりの具は何かな?
お腹が空いたらお昼ご飯!おにぎりの具は何かな?

徳本さんらは、活動の場となる里山や土地の所有者をはじめ、地域のみなさんに活動への理解を得るためのあいさつ周りも積極的に実施。すると、「うちの敷地は自由に使って」「しいたけの原木をあげる」「山に実のなる木々を植えていこう」など、地域のみなさんからは活動を後押しする暖かい提案が次々とありました。「地区のみなさんに感謝しています。その分、子どもたちの元気な声を聴かせてあげたい」と、徳本さんは恩返しを誓います。

待つことが成長を促す

風りんりんのコンセプトは「待つ」こと。先生は大人でなく自然です。「例えば雪の日に上着のチャックが閉められず、ワッと泣き出しても待ちます」と徳本さんは断言。「待つことで子どもはできるようになります。その経験は、私たちが思っているよりもずっと大きい自信になっているのではないでしょうか」と訴えます。「好きな時に、好きなことを、好きな時間だけさせてあげる。それを大人が見守る」。これが、徳本さんの子育てに対するポリシーです。

「鳥取は、森や里山、海、砂丘など、自然が全部そろっています。森のようちえん王国になれる可能性を秘めています。すばらしい子育て環境だとPRしていきたい」と徳本さん。鳥取市の森のようちえんの先駆者として、今後の活動に意欲を見せています。

風りんりんの活動はまだ始まったばかり。鳥取の大自然の中、伸び伸びと笑顔いっぱいに過ごす子どもたちの将来が、とても楽しみです。