シリーズ
元気です

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まちにアートと
ひとづくりの拠点を

ホスピテイル・プロジェクト
実行委員会

委員長 野田 邦弘(のだ くにひろ)さん
スタッフ 藤木 美里(ふじき みさと)さん
キュレーター 赤井(あかい) あずみさん

プロジェクト始動

鳥取駅前の中心市街地にある円形の独特な建造物。昭和31年に開院し、平成8年に閉院した旧横田医院の建物です。近代建築物としても文化的価値の高いこの建物を活用しようと、アートプロジェクト『ホスピテイル・プロジェクト』が平成24年3月に始動しました。

このプロジェクトの中心となったのが、鳥取大学の野田邦弘先生とキュレーターの赤井あずみさんです。平成17年に鳥取大学に来た野田先生は、県内の空いている場所や施設、スペースを調査。市内にある旧横田医院を見て「鳥取のまちなかにこんな場所があって、いつか何かに使えたら」と考えていました。

『ホスピテイル』は後期ラテン語で「来客を迎える大きな館」を意味し、病院を表すホスピタルの語源とも言われています。「建物の記憶を残しつつ、アーティストが作品をもって来館者を迎える、鳥取に住む人たちがアーティストを迎えるような場所になってほしい」との願いを込め、赤井さんが名づけました。

メンバーは学生が中心

プロジェクトのメンバーは、野田先生や現在は鳥取県立博物館の学芸員を務める赤井さんをはじめ、地域の人や鳥取大学の学生など合わせて約30人。「学生は、2年生の授業である地域調査実習の一環として運営や企画に関わりはじめます。戸惑いながらも現場に出て実践を重ねるうちに、一部の学生は面白いと言って3年生、4年生になっても有志として続けています」と野田先生は地域と連携したプロジェクトに手ごたえを感じています。

自由に出入りできる場所に

ホスピテイル・プロジェクトには大きく5つの柱があります。1つめはアーティストを鳥取に招いて、旧横田医院から歩いてすぐの場所にある元旅館『ことめや』に滞在しながら、旧横田医院をアトリエとして活用して作品制作を行うアーティスト・イン・レジデンス・プログラム。2つめは、展覧会やワークショップ、パフォーマンスといった多様なアートを紹介するギャラリー・プログラム。3つめは、国内外のアートプロジェクトの現場や事例を紹介するゲストトークのシリーズ。4つめは旧横田医院の庭を再生するワークショップ。5つめが、『読まなくなったけど捨てられない本』を地域の人から集めてつくった『すみおれ図書室』です。

「今はイベントを行うときだけ開けているけど、一年中地域の人が自由に出入りする場所にしたい」と話すのは野田先生。「制作や庭づくりなど楽しみつつ刺激を受けられるプログラムばかり。図書室に併設されたカフェで、本を読みながらゆっくりお茶を飲んだり、好きな本について語り合ったりもできます」と、赤井さんは地域の人へ参加を呼び掛けます。

今後も継続して活動を


浜村温泉映画祭には地元の人も多く参加しました

当初は継続したプロジェクトになる予定はなく、大学の限られた予算で一回何かイベントをやるだけの予定でしたが、現在は大学、市中心市街地活性化協議会、県、文部科学省からの支援も受けてプロジェクトを進めています。
 「少しずつ規模は大きくなっているけど、将来的には若桜街道の空き店舗を全部ギャラリーとかアトリエとかイベントができる場所にして、空き店舗がなくなるのが理想」と夢を語る野田先生。赤井さんは「旧横田医院はアートや文化に特化したアートセンターに、『ことめや』は、ジャンルを超えて誰でも自由に企画して、それを実現させていくまちなかの実験室にしたい」と思いを膨らませます。
 3月には新しいアーティストが約1カ月の間、滞在制作を行います。また、庭の再生プログラムも再開されますので、中心市街地へお出かけの際には旧横田医院にぜひ立ち寄ってみてください。


中心市街地にある『旧横田医院』(栄町403)。円形の建物に目をひかれます。


アーティストが滞在する『ことめや』(瓦町527)はスタッフの藤木さんが管理しています。

これまで行ってきた数々のプログラムには、学生をはじめ、地域の人も多く参加しています。


すみおれ図書室


庭のワークショップ


ゲストトークシリーズ


建物全体を舞台にしたパフォーマンス(2013)

詳細はホスピテイル・プロジェクトのウェブサイトをご覧ください

ホームページhttp://hospitale-project.jimdo.com/