天文セミナー 第181回
『星の歳時記』
舞台から退場するはずの筆者が、再び生き返っての登場です。甦ったからには、シェイクスピアにも再度登場して貰うことにしましょう。イギリス中南部にある古い都市、ソールズベリーには、1200年代に建てられ、ヨーロッパで第2の高さ123mにも達する尖塔を持った古い大聖堂があります。ソールズベリー大聖堂です。ここの市街に入る門の壁面に垂直に掛けられた素敵な日時計があり、影が時を刻み続けています。その垂直な文字盤の平面にLife's
but a walking shadow と書かれているのを見上げることが出来ます。実は、この文章の源はシェイクスピアの戯曲にあるのです。つまり有名なマクベスの第五幕第五場でのマクベスの台詞:Life's
but a walking shadow。小田島雄志訳:消えろ、消えろ、つかの間の燈火!人生は歩き回る影法師、あわれな役者だ、(後略)。坪内逍遙訳:消えろ、消えろ、束の間の燈火!人生は歩いている影たるに過ぎん、(後略)。是こそが元の文章なのです。この文面を見たとき、シェイクスピアの博学多才に私はとても驚きました。何と意味深い言葉ではありませんか。日時計の固定された柱の影、つまり影法師が時間の経過によって移動します。人も時間の経過と共に成長し年を重ねます。よく考えると、人生そのものが影法師Shadowなのかも知れません。 |
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