天文セミナー 第173回
『星の歳時記』
前回の山羊座の東にあるのが水瓶座。黄道12宮の一つとして星座占いなどでは2月の星座として親しまれていますね。都会ではなかなか認められないような微かな光の多くの星が三本の矢車で表されている水瓶からこぼれ落ちています。この水瓶を肩に担ぐのは、それこそ水もしたたる美少年ガニメデスの姿だと言います。本人は、大変な恥ずかしがり屋で、なかなかその姿を見せようとしないとも言われ、特にこの頃のように夜が明るいと見つけるのも容易ではありません。水瓶座の天文学での名前はアクアリウス。アクエリアスというペットボトル入りのスポーツドリンクや、有名な装飾品のメーカーの名前にも使われていますのでお馴染みですね。このガニメデスが持つ水瓶から溢れだした水を南の低いところで口を開けて飲んでいるのが南の魚。このあたりの星座を見回すと水に関わりのある名前に出会います。これらの星座の発祥の地と言われるメソポタミア地方では、雨期になると太陽がこの星座を通過することから付けられた名前だと言われています。メソポタミアは現在の中近東地域。乾燥地帯の人々の生活にとって水はとても貴重な物でした。きっと大きな期待をもって太陽がこの水瓶座にやって来て雨期が始まり、水が手に入ること、農産物が成長することを待っていたことでしょう。もっとも、現在では水がオイルに変わってしまったようにも思えますが。 |
2011年11月の星空 (ここをクリックすると大きな画像になります) |
次 回も、お楽しみに |