天文セミナー 第102回

『太陽系以外の惑星探し』『年の初めは?』



太陽系以外の惑星探し

 最近、天文学上で話題になっているのが太陽系以外での惑星探し。星の数ほどある恒星の中には、いくつかの恒星と力学的に繋がった連星系を形作るものが多いことから、単独の恒星としての太陽の方が珍しいのではないだろうか?とも言われています。ところで、木星の直径は太陽の0.103倍。もう少し大きければ、自分で核反応を起こして輝くだろうということから太陽になれなかった星とも言われ、褐色矮星とも称されています。 そして、このように見えない星の質量が宇宙全体の質量に大きく寄与していることも事実です。しかし、自身で輝かないような星は、通常の観測方法では見つけることが大変困難です。
 そこで、考えられたのが星の固有運動の観測。かつて、冬の夜空の王者大犬座のシリウスの固有運動の観測から白色矮星が発見されたことがありますが、同じ手法が使われます。恒星の微小な位置のずれから、すぐそばを回る星の存在を知ろうと言うものです。さらに、分光と言って光を虹のように分散させてスペクトルのズレを観測して同じように近くの星の存在を知る手がかりを得ようともします。また、すぐそばを回る星があれば、星の光が変化します。冬の夜空に懸かるペルセウス座のアルゴルと呼ばれる変光星などが代表です。しかし、これらの星は明るくはないものの、高温、高圧の環境なので生物の存在には不適当です。そこで考えられたのが、自身では輝いていない木星サイズの暗い星の検出です。暗い星が恒星の前を通過するときに変わると考えられる星の明るさの変化の観測です。明るさの変化量はとても小さいので、観測はとても困難ですがそれを可能にしたのが最近のIT技術の進歩でした。1%以下の光の変化を捕らえてくれるのです。こうして、太陽系以外の惑星探しの計画が始まりつつあるのです。地球外の知的生物の発見には、目に見えないような星探しも大変重要です。何しろ、太陽のように高温、高圧の環境では生物の発生は考えられませんから。


年の初めは?

 もう幾つ寝るとお正月。子ども達の声が聞こえて来るようです。年が変わると、来年は平成十八年。この平成と言う年号に対して西暦と言う呼び方があります。平成何年と言う呼び方を元号または年号と言い、中国で漢の武帝の時代(西暦紀元前140年)に「建元」と号したのに始まり、日本では西暦645年に「大化」と号したのが最初だと伝えられています。さらに、現在ではほとんど使われなくなってしまったにもかかわらずアメリカやイギリスで作られ天文学や船舶の航海などで使用されている「天文暦表」には、日本や、その他の国々の紀元年号が記載されています。日本の紀元の元年は明治初期に当時の外務大臣が諸外国に書面で、「明治5年12月3日を以って明治6年1月1日と定める。神武天皇即位紀元2533年を明治6年とする。」と通知したことに始まります。そしてこのことは、取りも直さず神武紀元元年=西暦紀元前660年であって、西暦の年号に660年を加えることによって日本独特の神武紀元の年号にすることができるのです。
 さて、日本の元号や神武紀元、そして西暦に対して、世界の各地には独自の紀元を持ち、使用している国や民族があります。最も長く続いているのはビザンチン紀元の紀元前5509年を元年する暦で、次いで天文学などで使われているユリウス日の始点で西暦前4713年1月1日を元期とします。さらに、旧約聖書の教えを受け継ぐユダヤ人の間でユダヤ創生紀元は西暦前3761年10月7日を元期として年号を数えます。ローマ帝国で使われたのはローマ建設紀元で西暦紀元前753年が元期、そしてイスラム教の国で使われているのがヘジラ紀元で、西暦622年7月16日を元期とする純太陰暦(イスラム暦)です。世界各地には、民族の数だけ、宗教の数だけ暦が使われて来たことになるのです。ところで、各国の間での交流が盛んになるとバラバラな暦ではとても不便で、各国の国益に沿いません。そこで、この不便を解消する意味から現在では多くの国で西暦=キリスト誕生紀元が使われるようになったのです。



2005年12月の星空

(ここをクリックすると大きな画像になります)
2005年12月の星空です。

冬の星が見られるようになって来ました。
火星は、少しずつ明るさが落ちていきます。

天文カレンダー 惑星たち
2日: 新月
4日: 月の近くに金星が見える
(夕方、南西)
7日: 大雪(太陽黄経255°)
8日: 上弦
9日: 金星が最大光度
12日: 水星が西方最大離角
(明け方、東)
14日: この頃、ふたご座流星群が多く見られる
16日: 満月
19日: 月の近くに土星が見える
22日: 冬至(太陽黄経270°)
23日: この頃、こぐま座流星群が見られる?
24日: 下弦
27日: 月の近くに木星が見える
31日: 新月
水星: 中旬頃、明け方東の空
金星: 観察可能(夕方、南西)
9日に最大光度
火星: 観測好期
木星: 明け方東の空
土星: 観察好機

次回も、お楽しみに

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