天文セミナー 第62回

『γ(ガンマ)線天体』『今年のスター・ウイーク』



γ(ガンマ)線天体

  γ(ガンマ)線。あまり聞いたことのない名前ですね。そうでしょう。?線は、健康診断の時にお世話になるレントゲンとしてお馴染みでしょうが。ところで、このγ線やX線も実は肉眼で見ている可視光線と同じように電磁波と呼ばれるエネルギーの一種なのです。この電磁波は、波長の長いほうから電波、赤外線、可視光線、紫外線、X線、γ線と続きます。そして、この順番はエネルギーの弱いほうから強いほうへの順番と一致しています。つまり、電波よりγ線の方がエネルギーが多いのです。しかし、波長が短いために伝わって行く途中で弱められる割合も大きく、あまり遠くへは伝わりません。
 ところで、1970年のころ、このγ線が爆発的に宇宙で増加する現象であるバーストが観測されたのです。遠くへは届かないはずの波長の短いγ線が発見され、研究者は大騒ぎをしました。そしてこのγ線源を追跡しようと観測体制を強化したのですが、何しろ数秒から十数秒という短い時間の爆発的な現象なので、中々観測できません。そこで思いついたのが、γ線とともにきっと光でも明るくなるに違いないという考えでした。多くの天文台やアマチュアの協力を得て、広い範囲を継続的に監視し続けるような体制でした。特に、アマチュアによって撮影される新星捜索用の写真などが突発現象を捉えている可能性が高く、重要視されたのでした。

 さらに、γ線を観測するための人工衛星が打ち上げられ、世界の研究者がこぞって協力したのです。こうした観測網のお陰で、現在では幾つかのγ線を出す天体が発見されました。多くの波長を使っての観測と研究が、宇宙に秘められた謎を一つづつ解き明かしているのです。


今年のスター・ウイーク

  「星空に親しむ週間」として知られるスターウイークも今年で8年目。多くの人々に、夜空の美しさを知ってもらい、夜空に輝く星に親しんでもらいたいとの考えで始められたのでした。スター・ウィークの期間は毎年8月1日から7日までの1週間。これは、梅雨も終わり、天候も安定し、学校なども夏休み。子供さんたちの夜間の外出も比較的容易だとの考えに拠ったものでした。
 ところで、この期間中には多くの公開天文施設でそれぞれに思いを凝らした多くのイベントが計画されていることでしょうが、今年はこのイベントに統一イベントが計画されました。そして、このテーマは「地球の大きさをはかろう」。佐治天文台からの提案です。
 地球の大きさ。知っているようで知らないものです。実際にトライして、実感してはいかがでしょう。詳しくは佐治天文台のホームページをご覧ください。

地球の大きさを測ろう

マスコットキャラクター「はかるくん」
東京〜北海道まで、自転車で移動しながら
北極星の高さを測るグループも結成されました。

 そして、ちょうどこの期間を含む7月29日から8月11日の間、環境省が主導して全国で行われるのが「全国星空継続観察」。こちらの方も、スターウオッチング・ネットワーク。星空の決められた場所を肉眼や双眼鏡で観察します。夜空の暗さと明るさを実感し、これは何が原因なのだろうかと考えるきっかけになるかもしれませんね。詳しくは居住地の役所の環境担当部局に聞き合わせるとよいでしょう。



2002年8月の星空

(ここをクリックすると大きな画像になります)
2002年8月の星空です。

夏の星たちでいっぱいです。
さそり座は、思ったよりも早く沈んでしまいますので、
お早めに・・・。

天文カレンダー 惑星たち
1日: 下弦
8日: 立秋
9日: 新月
11日: 火星が太陽の方向
15日: 上弦
22日 金星が太陽の東で最大離角
23日: 処暑、満月
31日 下弦
水星: 夕方の西空、低い
金星: 夕方の西空、22日に最大離角
火星: 太陽の方向で見えない
木星: 明け方の東空、低い
土星: 夜半過ぎに上る

次回も、お楽しみに

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