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「新年度の学級(学校)経営とかけて、水鉄砲と解く」その2

 子どもたちが登校し始める始業式・入学式を境に、学校はがぜん活気づきます。当然、全てがプラス方向に活気づくわけでなく、トラブルも急激に増えてマイナス方向に活気づくこともしばしば起こります。実は、ここが「プロ」と「アマ」の境目なのです。

 

プロの教師は、必ず起こりうるトラブルを想定して事前に「学級経営の段取り」を構想し、ポイントごとに打つクサビの種類や深さ・角度を心得ています。しかも、この時期に打つクサビが、この一年間に打つクサビの中で、最も重要な位置づけにあることを経験的に知っているのです。だからこそ、この時期を「黄金の1週間」と呼び、重要視しているわけです。

 

 では、「始業式・入学式後の1週間」いわゆる「黄金の1週間」には、どんなことを教え、どんな段取りで進めていけばよいのでしょう。

 

 これまで数多の実践例が出されていますが、以下に示す「集団の現在地 あ・い・う・え・お」を「黄金の1週間」に教えていく方法は、かなり具体的で取り組みやすく効果的だと思います。

 

集団の現在地「あ・い・う・え・お」

あ:「りがとう」が子どもたち同士で自然に言い合えるように、その言い方を教える。

い:「つも」すること(ルーティンワークや学習・生活のルールなど)を教える。

う:「なずき」(聞き方、意思表示、「へーえ、なるほど」等反応の仕方)を教える。

え:「がお」など本音の表情を出すための方法を教える。

お:「と」や声の出し方を教える。

 

 以下、一項目ごと具体的に示します。

 

 

<「ありがとう」を教える>

「ありがとう」の言葉は、待っていてもなかなか言えません。しかし、言うべき場面と言い方を教えると案外すんなり使うようになりますし、何よりも学級・学校の雰囲気は格段に温かくなります。具体的には、次のような場面で丁寧に教えていくと効果的です。

 

(1) 「これから本(手紙など)を列ごとに配るので、席の後ろの人に渡していってください。」と言って最前列の子どもに列の人数分手渡す。

(2)  全体に行きわたるまでに、「ストップ!今渡し方を見ていましたが、前を向いたまま頭越しに渡すのは相手に失礼です。もう一度前に送り返しなさい。」と指示する。

(3) 「相手が受け取りやすい渡し方を考えてごらん。」(しばらく考えさせた後)

(4) 「そう、失礼のない渡し方のコツは2つあります。一つは、一番上を少しずらして両手で渡す。もう一つは、渡す時に『どうぞ』と言う。さあやってごらん。」

(5) 次に送っている様子を見ながら、「ストップ!今、先生は凄くうれしくなる姿を発見しました。みんなに教えたいので、もう一度前に送り返しなさい。」と指示する。

(6) 「実は、Aくんは『どうぞ』と言って渡されたとき、『ありがとう』と返事を返したね。これって凄いことだよ。渡してくれた相手を思いやる優しさがあるし、もっと凄いことに渡した人も笑顔になったよね。凄い!」と言って目一杯ほめる。

(7) 「じゃあ、もう一度後ろの人に渡してみて。」

 

 ここまでの指導時間は、中学校で5~6分、小学校低学年で10分もかからないでしょう。ただし、1回指導したから身につくわけでなく、教師が言い続けることはもちろん、これ以後も別のバージョンを工夫したり、「ありがとう」を言った回数をカウントするカウンターを作ったり、「ありがとう」イベントを子どもたちに企画させたりして、発展的に扱うことをおすすめします。

 

 

 

<「いつも」を教える>

 「いつも」の内容は大まかにはルーティンワークとルールの2つがあります。

ルーティンワーク(個人が習慣としてとる行動)

  ・はき物をそろえる  ・手洗いうがいの仕方  ・登校後にすること  

  ・食べ方や噛み方   ・休憩時間の過ごし方  ・字の書き方、鉛筆の持ち方

 

 ルール(共通理解して集団として皆が同じ行動をすべき内容)

  ・廊下歩行  ・返事  ・話の聞き方  ・学習前の準備  ・給食の準備 

・食べ方   ・朝会や終学活のやり方  ・ノートの使い方 ・集会の出方帰り方

 

もちろん両者の内容は教えていくべき内容なのですが、押し付けることになっては反発を招くだけで元も子もありません。やはりここは「黄金の1週間」ですので、内容を絞って以下の事項を優先的に工夫しながら教えることをおすすめします。

 

    はき物をそろえる

かかとの位置をそろえて置く時に、次に何しようか考えながら置くことを習慣づける。

そろえるときに一呼吸するため、自己コントロールの習慣が身に付く。

 

    授業前の準備

2分前着席や教科書・筆記用具の準備と置き方の指導とともに、「黙想」「調息」「立腰」などを教えることは大変効果的。いずれも呼吸の仕方を合わせて指導することで応用範囲(テスト前、試合前など緊張する場面)が広がる。

 

    集会の出方帰り方 

集団で集まる時には、一言もしゃべらずに集まれることを目指す。当初から繰り返し指導し習慣づくと集団づくりの一助になるだけでなく、緊急避難時等の危機管理対応に役立つ。

 

 

 

<「うなずき」を教える>

 「うなずき」を教えるとは、反応や意思表示の仕方を教えることです。

 具体的には、以下のように3場面に分けて教えると分かりやすいでしょう。

 

1.「うなずき」のよさを教える場面

(1)まず「話を聞くときは、確認しながら聞いていることを相手に伝えるために、うなずきながら聞いてごらん。」と指示し、実際にうなずく動作をさせてみる。

(2) 次に「じゃあ、これからAさんが自己紹介を2回します。1回目は皆が黙って聞いているだけ。2回目は皆がうなずきながら聞いてみてごらん。」と聞いている子どもたちに向かって指示する。

(3) さらに「Aさんには、言い終わった後で、1回目と2回目の皆の聞く態度の違いについて感想を言ってもらうから、皆の様子をよく見ていて。」と言って心づもりさせる。

(4) 教師は、1回目2回目とも聞いている子どもたちの表情やうなずき加減を注意して観察し、うなずき方だけでなく、話す人の方を向いていている様子についてほめる準備をしておく。

(5)Aさんには、「うなずきながら聞いてもらうと話しやすい、受け留めてもらっている感じがしてうれしい、もっと話したくなった。」などの感想が入るように工夫してインタビューする。

 

2.「分からない」の意思表示を教える場面

 授業中に見せる子どもの反応の中で、出てきたら大変うれしい反応(言葉)があります。

「先生、今の内容はよく分かりませんでした。もう一度教えてください。」

という反応(言葉)です。たった一言の「反応」ですが、なかなかお目にかかりません。なぜなら、こうした「反応」を受け入れる雰囲気が確保されていないからです。だとしたら、年度当初からこうした「反応」をもっと「教える」べきです。実際に一斉に立たせて、声をそろえて言わせてみてはどうでしょう。なかなか言い出しにくい状況があれば、「分からない時は、首をかしげたり、かぶりを振ったりしていいんだよ。でも、反応しないと伝わらないんだよ。」と言い続けるべきです。もちろん様々な指示や問いに対してこうした反応が出た時には、大げさにほめることがセットになっていることもお忘れなく。

 

3. 学力を伸ばす「うなずき(反応)」を教える場面

 2.の「反応」が授業中に出てくると、大変授業が盛り上がるという経験をしている教師は多いと思います。実はそれ以上に次のような「反応」を教えておくと、さらに盛り上がるだけでなく、その学級全体の学力は間違いなく伸びていきます。

「へーえ、そうかぁ!」「わかったぁ!」「なるほど、そういうことか!」

 年度当初にはどうしてもノートの書き方や宿題の仕方など、直接学習方法に関わる内容が指導の中心になりがちです。しかしそれは教える側の都合であって、教わる側の子どもたちにはほとんど入っていかないのも事実です。ならば、少しばかり視点を変えて、学習の主体者である子どもの立場から、子どもたち同士がやり取りし合い影響を与え合う場づくりをしていけば、案外簡単に「やらされる授業」から、子どもたち自身の力で「主体的に取り組む授業」に乗り替えていくのではないかと思うのです。おそらくこの言葉が飛び交う学級は、どの子も驚くほど伸びていくことでしょう。

 

 

次回は、<「えがお」を教える>と<「おと」を教える>をお届けします。

 

 



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