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「自治力を備えた学級づくり」その1

 新年度がスタートして1か月が過ぎた連休明けのこの時期が、学級づくりにとっては最初の山場です。ここをいかに乗り越えるかで、今後の学級づくりが見えてきます。そのことをふまえて、学級の現状はいかがでしょう。おそらく、全て上手くいっている学級はほとんどないと思います。それでいいのです。むしろ、上手くいっていると思っていること自体が危ないことです。大切なことは、課題のない学級ができていることではなくて、担任が自分の学級経営のどこに課題があり、どういう手の入れ方をし、どう展開していくかが見えているかということにあります。

 

 ただし、こうした見極める能力はかなりの熟練を要します。一朝一夕にできるものではありません。しかも、年度当初は児童生徒の実態が見えにくいだけに、課題の所在がつかめなかったり、問題を見逃したりすることもあり、丁寧な対応を心掛ける必要があります。

 

 そこで今後100日程度先を見越しつつ、「自治力を備えた学級づくり」に向けて、この時期どのような具体策を打てばよいのかについて、新たに購入した自転車に乗って運転している様子をイメージしながら示していきます。

 

 

自転車

 まず、新品の自転車を運転しているのは学級の子どもたちで、前輪は学級、後輪は運転者の家庭だとします。現状では、天候もよく、皆楽しそうに運転していて、特に大きなトラブルもありません。しかしよく見ると、互いにぶつからないように何となく前を向いて同じ方向に進んでいるだけで、広がったり、何人か立ち止まっておしゃべりを始めるなど、若干まとまりがないように感じる状態を想像してください。おそらく、行き先が曖昧になっていると思われます。

 

改善の視点(1)「ハンドル」

 こんな時に、まずどこに手を入れるかというと、「ハンドル」です。ハンドルを上げ下げしたり、ドロップハンドルに交換したりするわけではありません。ハンドルを操作する子どもたちの意識や行き先を再確認する、つまり「目標のとらえ直し」をする必要があります。簡単な方法としては、子どもたちに「学級目標がすぐに言える?」と問いかけてみるとよいでしょう。直ぐに言えないようであれば、おそらく学級目標が単なるお題目として掲げてあるだけで、一人一人がハンドルを握っている意識は薄いと思われます。早急に方向を立て直さなくては、とても年度末まで持ちません。今ならまだズレが小さいだけに、十分間に合います。

 

 建て直しのキーワードは、「シンボライズ」です。オリンピックのロゴマークへの関心が高かったように、学級みんなの思いを形に表す作業を取り入れると、割と簡単にハンドルが同じ向きにそろい、学級はまとまってきます。

 

 ○ 一人一人の名前を折り込んだ歌詞に曲を付けた学級歌

 ○  学級目標を入れた応援コールや合言葉

 ○  学級のキャラクターを布に描き込んだ旗

 

など、「シンボライズ」のアイデアは山ほどあります。ただし、このすべてを担任がやってしまうと、学級の自治力は育ちません。初期の段階だからこそ子どもたちに託すことが、学級の自治力向上につながりますし、ひいては担任の力量アップにもつながります。

 

改善の視点(2)フレーム」

 「ハンドル」の次は「フレーム」です。そもそも、「フレーム」に視点を当てることは中々ないことだと思います。しかし自転車を支える「フレーム」こそ、各部品(ハンドル、サドル、車輪等)をつなぎ、運転者を支える重要な役目を担っています。つまり「フレーム」は、学級の「システム」や「仕組み」のことなのです。「フレーム」をいい加減に扱うと、学級全体がぐらぐらしてしまうことは容易にイメージできるでしょう。

 

 「フレーム」がしっかりしているかどうかを確認するためのポイントは、「やり取り」です。「やり取り」自体は、一人一人と直接会話したり文面で間接的に交流したりすることで、取り立てて難しいことではありません。むしろ、この時期にはどの学級でも当然のように「やり取り」は行われています。問題なのは、その質です。ただ漫然と「やり取り」を行っているうちは、「やり取り」に偏りができ、子どもたちの微妙な変化が察知できないため、子どもたち個々の居場所が確保できなくなってしまいます。このような不安定な状態が続くと、子どもたちの抱える不安はどんどん膨らみます。そうなるとどんな優れた手立てや活動を仕掛けたとしても、子どもたちは土俵にさえ上がってきませんから、持っている力を発揮させることも、伸ばすことも難しくなりますし、必然的に学級集団としての向上も望めなくなります。

 

 そこで、目標とすべき「やり取り」の姿を、「毎日、一人も漏れることなく、双方向に行う」という結構高いハードルに設定して取り組む必要があると考えています。そうすると、ハードルを越えるために、普段の会話、授業中の発言、日記、生活ノート等はもちろんのこと、集会や部活動、係や委員会活動など直接的な「やり取り」はもとより、学級会用ポストへの提案やアンケート・相談会での対応の様子など間接的な「やり取り」を含めて多種多様な「やり取り」の場面を毎日セットする必要が出てきます。

 

 実はここからが、知恵の出しどころです。良いことは分かっていても、時間的、物理的に無理があり、花火を打ち上げただけの計画倒れに終わることは避けたいものです。そこで、以下にハードルを乗り越え、「フレーム」を強固にするための工夫を挙げます。

 

 学年団を組織する

 学年団を組織し、担任を含めた多くの目で見、声をかけて「やり取り」の場面を多様に設定する。「情報の伝達と共有」が課題となるため、一人で抱え込まないよう、教員同士の頻繁な「やり取り」が必要。小規模の小学校でも、十分取り組み可能。

 

2 記録のとり方を工夫する

 一人一人の発言や活動の様子をやたらに記録(メモ、写真、動画)するクセをつけおく。その際、デジカメやタブレットなどICT機器を常時持参し多用する。

 

3 子どもたちに任せる場面を多くする

 担任1人ですべて請け負うことをあきらめ、子どもたち同士で確認し合ったり、声を掛け合ったりして「やり取り」するシステムをつくる。写真係や広報委員会にデジカメを持たせ、学級新聞などを作成させるなどの工夫が、「自治力を備えた学級づくり」につながる。

 

4 見える化する

 教職員-名簿を活用し、その日「やり取り」した内容をメモする。

     情報伝達掲示板を設置し、付箋に気付いたこと、気になること

     などを書いて貼る。

 子ども-掲示板を設置して、子ども同士の情報交換ができるようする。 

     撮った真を紙に貼り、コメントをつけて掲示し、

     後程綴じて学級の写真集にする。

 

 実施困難な工夫は一つもありません。むしろ、やり始めの押し出しに若干力を使うものの、走り出すと意外にすんなりなじんでくるのではないでしょうか。とりわけ連休や長期休業明けは子どもたちが不安定なだけに、こうした「やり取り」の工夫に組織的、計画的に取り組むと、「フレーム」が強固になるだけでなく、自ずと子どもたちが主体的に「自治力を備えた学級づくり」に迫っていくようになると思います。

 次号は、「ペダル」「メーター」「チェーン」についてお届けします。



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