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天文セミナー第232回(2016年10月)「名付け親の楽しみ。」第16回 お伽話(おとぎばなし)

天文セミナー 第232回

『名付け親の楽しみ。』



第16回 お伽話(おとぎばなし)

No.40

(7991)  Kaguyahime=かぐや姫=1981UT1  発見日:1981 Oct.30

命名の由来:日本最古の夢幻物語。

 誰でもが一度は聞くか、読んだことがあるのがお伽話でしょう。浦島太郎の物語。桃太郎の鬼退治など数え上げればきりがないほど。私が、この”かぐや姫”の名前を小惑星に付けたときに、なんで、どうしてなどと聞いてくれる人が何人もいました。
 日本のお伽話に限りませんが、このようなお話の始まりは決まって「昔々、あるところに・・・」と時間も場所も特定されていません。時は今、場所は今居るところと考えても何の不都合もありません。浦島伝説などは、広く日本各地に残されていてその場所では、こちらこそ本家、などと言います。何処が本家であっても、家元であっても一向に差し支えありません。例えば、浦島伝説は浦島ですから水が関係しますが何も海岸でなくても良いのです。大きめの川であってもかまいません。伝説の背景には、人間本来の欲望である不老長寿の思いが隠れているのではないでしょうか。私は、この欲望と時間とが見事に結合して居るのが浦島伝説と考え、さらにこの背景には亀は万年、鶴は千年と言うことわざもあるのではないかと思います。蛇などは一度に脱皮しますが、亀は一度には脱皮はしませんが身体の部分毎に脱皮します。しかし、この脱皮を生まれ変わりと見ることによって長寿の象徴です。
 ”かぐや姫”。皆さんお馴染みですね。このお話は日本最古の一種の夢物語として多くの人に親しまれて居ます。竹藪の中に光る一本の竹があり、おじいさんが不思議に思いその竹を切ったところ、小さい美しい女の子が出てきた、とお話は始まり。多くの貴公子の求婚を退けて、月の世界に帰って行くところでお話は終わります。何と美しい、夢に溢(あふ)れた物語ではありませんか。
 背景がどのようなものかは私は知りませんが、読み進む内に引き込まれます。よく考えてみますと、月は夜、つまり黄泉(よみ)の国の支配者です。そして、竹藪の竹は常に青々として生命力が溢れているようです。さらに、月は日ごと夜ごとに姿形を変え、1ヶ月で元の姿に復します。このことから、月は再生の象徴と考えられて居ました。こう考えると、この”かぐや姫”のお話も、現世と黄泉の国を結んだ”黄泉がえり”とも考えられます。
 山陰地方には、古事記に関連する多くの言い伝えと遺跡が残されて居ます。私も、このような神話・伝説・遺跡を訪ね歩くのが大好きで、ある時島根県の揖屋(いや)にある、黄泉比良坂(よもつひらさか)を訪ねました。ここには、黄泉の国に旅立ったイザナギの妻イザナミを主神とする揖屋神社があります。女神を主神とする神社は珍しく、イザナミが如何に大切に思われて居たのかを知る手立てになるでしょう。この社の近くに、黄泉比良坂と言われる岩屋があり、その前には日本最古の墓地と言われる墓石が群立しています。如何にも、黄泉の国への出入り口と言った雰囲気、同行した妻は、尻込みして近づけないほど。
 このお話などは、明らかに黄泉がえりの物語。この黄泉の国から帰ったイザナギが行ったのが禊(みそ)ぎ。筑紫(つくし)の日向(ひむか)の橘の小門(おど)の阿波岐原(あわぎはら)でのこと、と古事記は書き残しています。夢幻物語”かぐや姫”に潜められた甦りの思い。私はそのように考えたいのです。


2016年10月の星空

(ここをクリックすると大きな画像になります)
2016年10月の星空です

 日没がずいぶんと早くなり、星空を長く楽しむことができるようになりました。空気の透明度も高くなりますので、存分に星空を楽しみましょう。頭の真上を挟んで西には「夏の大三角」をはじめとする夏の星たち、東には「秋の四辺形」などの秋の星たちが見えています。東側は明るい星が少なくてどこかさびしい感じですね。南西の低空には火星が見えています。夕方、さらに低空に金星も見えます。


次回も、お楽しみに



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