平成17年度鳥取市政懇話会 第4回「教育福祉部会」議事録

日時:平成17年11月14日(月) 午後1:30〜4:00

場所:鳥取市役所駅南庁舎第4会議室

出席者

議事内容

○委員 はじめに人権について約1時間程度行い、次に福祉について約1時間程度ご意見をいただきたいと思う。ご意見は簡潔に、皆さんの忌憚のないご意見をお願いする。

それでは、まず、事前に人権に関する意見をいただいているものについて補足説明等を含め意見をいただきたい。

○委員 人権についての集会は難しい課題であることもあり、参加者が少なく特定の者のみ集まる傾向にある。 啓発冊子は配布するだけでなく活用するため、分りやすいものにする必要がある。子ども用、保護者用、企業、公民館を含む集落地域用等、対象に応じた冊子を作成し、研修会や地域懇談会、学年PTAなどで活用する。

いつも委員が同じ方になっている。また、企業内にはないような気がする。企業内、集落等にも男女共同参画委員等を選出・任命し、啓発研修会参加など広く理解を求めることが必要である。

○委員 なぜ男女共同参画だけを人権の枠から外して独立させるのか。

ジェンダーフリーについてだが、男女が平等というのであれば、女性自身が女性という甘えを捨てる覚悟でしなければならないことをきちんと啓発すべきである。仕事ができる女性はホンの一握り(もちろん男性の中でも)であり、すべてを男女共同参画にあてはめるのは難しい。女性に対して、積極的差別是正措置をとることによって、それこそ差別にもなるし、その女性以上の能力をもった他の男性に対しても逆差別が行われるという現象もおきる。

また、価値を一元化していこうとするのは、外で働きたいという女性ばかりを作ろうとしていて、専業主婦への差別化をはかっているのでは。自己の自由な意志といいつつ、選ぶことをはばまれる。価値を多元化することに価値がある。

男女共同参画は子供たちにとってホントにいい方策か考えてほしい。

2005年10月の文部科学省の検討会では、感情をうまく制御できない「切れる子供」の増加の指摘を受けて、「情動は5歳までに原型が形成されるため幼児教育が重要だ」との報告書をまとめた。(1)情動は生まれてから5歳くらいまでに原型が形成される。(2)子供が安定した自己を形成するには,他者、とくに保護者の役割が重要。(3)子供の心の成長には、基本的な生活リズムや食育が重要 など

現在の日本は第一次産業からサービス業などの業種が増え,勤務地や勤務時間などの環境が変化し、また女性の参画が促され、子供たちにひずみが生まれているのでは。(この女性の参画は、ホントの参画ではなく、企業にとって便利に使われるだけの社員以外の扱いが多く、これは女性の差別でもあると考える。)

また、近年核家族が進んでいるために、(祖父母等誰か見てくれる人があればいいが)放課後保育等の充実により、さらに子供たちの生活リズムの乱れや、誰かに個別に自分と向き合ってもらえる時間が減少しているのではないか。

ホントに参画して男性なみに働くことと、子供を育てるということが、両立できる人は少ない。何が自分にとって大事であるか・・・もっと子供を育てるということを、周りや行政に頼むのではなく、自分自身で育てることを啓発していく。(だからといって、共働きするなと言っているわけではないが、少しの贅沢をするために子供たちに寂しい思いをさせるのか、それとも少し倹約して育児専念するかの違いで、子供に与える影響は大きいのではないでしょうか。)

○委員 私も委員さんの意見に同感である。人権とはどういうことを考える必要がある。人権という言葉をもとに様々な問題が生じている。同和教育などで考え方が偏った講師である場合もある。

○委員 人権は、人が人として生まれた時から尊ばれなければならない。子どもから大人まですべての人が一人ひとり愛されて尊ばれることと考える。

○森本人権政策監 人権は幅広くなっており、取り組むべき課題(11ぐらい)も増えている。

また、いろいろな方の人権の捉え方が多様化している。奥が深い。

男女の問題につきましては、世界的な潮流として役割分担意識が重視されており、計画を策定する時、市民2,000人のアンケートを行ったが、あらゆる面で女性より男性が優遇されていると回答された方が65%であった。国では75%である。今後一層の役割分担意識の醸成、企業内の格差があること(実態調査による)等を踏まえた取組みが重要である。仕事をされている女性の面が強く出ている気もするが、専業主婦が駄目と言う政策ではない。本人さんの選択や意思が尊重されることが大切である。

○委員 男女共同参画を間違って取り扱われている人もいる。次世代を育成する観点が大切。PTAや地域活動を働いているお母さんは、はじめから除かれている場合もある。根本的一人ひとりの人格が認められることが大切。

○委員 以前は、何か委員会を設ける時、女性部会を設けるなど何か運動的であった。最近は、男女共同参画で委員の約半分は女性という形に変わっている。日本社会全体がワークシェアリングの発想が必要となっており、画一的でなく男女の働く環境の格差を近づけていく必要がある。今、過渡期であろうが、企業も行動計画を持ち思い切って管理職に女性を登用したほうが良い。能力優先といわれるがやればできる。駄目ならまた変えればよい。

○委員 政治の世界には、女性の視点が大切であり、もっと増えた方がよいと思う。人権に対してはいろいろ意見の差があるが、先進国である日本に人権法がないのは、民度の低さを表しており、真剣に考えなくてはならない。そうでないと本当の意味での人権の啓発は始まらない。

○委員 鳥取県の人権のアンケートで、「人権と言えばどういうことを思いますか」という問で、子ども虐待、ハンセン病、DVの順であり同和問題は5番目であった。学習する機会に参加し正しい認識を深めることが必要。人権教育、同和教育が人ごとのように思われている感もある。

○委員 男女共同参画に関する大臣ができた。人権・男女参画等に関することは、人が人らしく、一人ひとりがそのことについての考えを明確に持っていれば良い。整理が出来ないから政策となっている。政策過程段階で女性の委員等の数を増やすことが第一である。

○委員 北欧等では、女性の議員等も多い。

○森本人権政策監 少し古いデータだが国の女性議員の数は世界で98番目である。前回の選挙で60番程度にはなったのでは。政策形成過程の委員では平成14年度では世界で38番目であった。

○委員 こどもを裸で走らせる等の事件もあった。慎重に考えれば分ってはいるがそういう行動をしてしまう場合もある。人権教育では、啓発と場所を捉えた適切な判断が必要。

○委員 女性は、場所を設けてもらわないと、なかなか積極的に出にくく脱皮するのに時間がかかる。

○委員 あらゆる年齢層、特に若い人が様々な場面に出ていただいたほうが良い。

○委員 同居のすすめというのはどうだろう。今、個になってしまっている部分が多く、家庭の中で各年代層と一緒に住み、普段の生活を見、それらにより人間らしさを学ぶことは多い。

○委員 若い方の発想は、斬新的な面もあり、それらを行政や様々な政策に活かしていくべきである。

○委員 行政のほうも会議等する場合、若い方が出やすい時間設定等を考えていくべき。

○委員 企業で働いておられる者も出やすくなるとよいと思う。

○委員 若い方が出る場合、ディスカッション(ディベート)することが難しいと思うので、まず勉強する機会を設けることが必要である。多くの若い方に参加していただき、若い人にも住みよい町にすることがまちづくりにとって大切である。

○森本人権政策監 男女共同参画委員については、現在パブリックコメント中の18年度からの計画では集落等で設けることとしている。市の政策決定段階での女性の参画は、17年度末で30%を目標にしており、現在28.7%と概ね達成している。次の計画では、40%をめざしたいと思っている。

○委員 このへんで人権は終わり、福祉に入りたいと思う。まず、事前に提出していただいた意見の説明等をお願いする。

○委員 福祉政策の啓発について、国の政策が予算とのからみなので、地方の施策に影響し、その事で心配している人も多い。市では、福祉政策を具体的に理解しやすい方法で情報発信していくことが必要。行政の担当者が、方策を立派な文書や冊子にしても無関心で理解が深まらない。回覧はよくよく読まれていると思う。

高齢者に対しては、種々の施策が提供されてはいるが、まず健康で過すための市民運動の展開、公民館等でサークル活動はあるが、それらを広域に呼びかけ、運動教室、親睦交流、ボランティア運動等につなげると良いと考える。

○委員 阪神・淡路の地震では6,000人が亡くなったが、お年寄りをはじめとする災害弱者に対する災害後1週間の対応が重要である。災害時におけるお年寄りの避難について、鳥取市のみならず行政作成の防災マップに年寄り、子どもからの視点が欠けている。無理に小・中・高体育館に避難させようとしている。なぜ近くの福祉施設や公民館を利用しないのだろう。民間施設も指定避難場所にしてもよいのではないか。学校が安全な施設だとしたら根拠があるのか。災害弱者からの視点で防災マップを作成すべき。

○木下福祉保健部長 防災マップを配られているが、家庭や地域の中でどこに避難すれば良いか等を地域の皆さんで研究してほしいと説明している。防災マップに書いてあるからそこに必ずということでなく、鳥取市の指定避難所と位置付けているもので、地域の中でより安全な場所(公民館・民間も含め)ということで設定され、情報をいただければ避難所班が駆けつける体制としている。

要援護者に対する支援の体制を検討しているところであり、年明けの段階で登録制度等を設けることとしている。いずれにしても地域での協力体制が災害時は重要となる。

○委員 老人に愛の手を」という標語があるが。標語だけでは駄目である。78歳の独居老人がおられ、病弱で時々体の調子が悪い場合、申請を待ってはいられない状況もある。75歳以上で独居老人ぐらいは市の方で何か連絡があればヘルパーが駆けつけるような体制を整えるべきである。

災害・有事の場合、地域が大きな役割を持つ。各町内で隣保班という制度をつくり確認し合い助け合うことが大切。また、市は3日間分の乾パンや水を備蓄することが必要。

○委員 備蓄はしてあるが、何日間という状況はまた報告する。

75歳以上にヘルパーをという件は、なかなか難しい。ヘルパーを派遣する場合、本来、介護保険等の認定を受けるものである。恐れがある場合は申請していただきたい。また、福祉ボランティア等も活用をしていくことも必要である。

○委員 合併してきめ細かさがなくなったのではないか。福祉は下に合わせるのではなく上に合わせていくほうが良い。障害者でも切り捨てられるというイメージもある。避難場所としては、人の問題もあり、民間施設は難しいと思う。

○木下福祉保健部長 民間施設については避難施設の指定は難しいであろうが、町内で自発的に民間施設と協議し、避難場所にされている地域もあるようだ。その場合、その民間施設に避難所班が行くこととなる。病院等は、避難所ではなく災害時の医療の核施設となるものである。

合併調整にあたっては、基本的には高い水準に合わせている。保育料も安く設定されている。今後皆さんの合意のもと見直していくことも必要と考えている。 福祉制度の啓発については、当事者になれば関心をもたれるであろうが、すべての方に中々見ていただけない現状もある。

福祉の面では特に、自助、共助、公助の考え方が大切である。

○委員 自助、共助、公助は当然大切な考えであるが、その仕組みづくりを市としても指導をしてもらうことが重要である。自発的には中々進まない。

○委員 隣組福祉員があるが、機能していないのでは。

○委員 マンションでは隣も分らない。管理組合も個人情報の関係で電話番号も教えていただけない状態である。市報は入るが、公民館だよりは入らない。

○委員 マップが古い。南バイパスも入っていない。

○委員 社会的なインフラが全てなくなった場合も考えておく必要がある。

○委員 災害の場合は特に隣近所の普段の付き合いが一番大切である。声かけを互いに心掛けることが重要である。

○委員 福祉面ではきめこまやかな声かけがされており、役を受けている方は良く動かれているが、隣近所でも回覧等を持って寄ってあげるとかちょっとしたことがお年寄りの方の助けになる。また、民生委員は足繁く通い、行政との橋渡しになることが大切である。

○委員 旧町村では防災無線等により情報が行き届いているが、旧市内が課題である。

○委員 来年度からの介護福祉の変更とはどういうことか。行政の関与が強くなるのか。

○木下福祉保健部長 現在、ケアマネージャーは事業者が行っており、要介護者を発掘している傾向もあり全国的に課題となっている。来年度から公平性を保ちながら介護予防の強化を図るため、要介護1等のケアプランを市が調査するなど行政が主に制度を運用することとなる。包括支援センターを駅南庁舎、用瀬、気高に設置し、専門職を民間から来てもらう等により配置することとしている。

○委員 ヘルパーの資質向上等が重要。また審査も適正に。やはり地域福祉の充実が重要である。

○委員 教育の関係だが、県政だよりに学校評議員制度が載っていたが、様々な提言が学校運営に反映されているのか。学校に行ったとき、授業を始める時、立って「はい」といって座り「よろしくお願いします。」もなかった。また、給食の時にピッと笛を鳴らしてから食べていた(宗教の関係)。びっくりした。

○委員 一部の先生であろうが、「食事する時も、金を払って食べているのだから誰にも感謝する必要はない。」という考えを持った先生もいる。

○委員 意図は分らないが、問題である。学校評議員制度や地域のほうからも意見をしていくべき。

○委員 多分化文化の副産物である。アメリカで議論されているが、日本での取り入れ方が問題である。

○委員 本日はこれで終了する。

○事務局 次回は来年の2月中下旬に開催する全体会の前に部会を行う。今までいただいたご意見をとりまとめ皆さんに事前に報告する。ご意見があれば、随時事務局のほうへ提出願いたい。

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