平成17年度鳥取市政懇話会 第1回「文化観光部会」 議事録

日時:平成17年5月11日(水)午後3時〜5時

場所:鳥取市役所本庁舎4階第3会議室

出席者

協議内容

○井上スタッフ 今回の部会では、平成17年度の部会において話し合う内容を決めていただけたらと思います。資料として、昨年度にもお示しした各部の重点課題に加えて、私の方で考えた重要な視点を付け加えております。また、昨年度おまとめいただいた提言「ふるさと麒麟回廊」もつけております。さらに、市町村合併後初めての観光マップができたようですので、これも資料としてお持ちしております。これらを基にお話しいただければと思います。

○委員 話合いの前に、こないだの連休に鳥取砂丘に観光客の状況を調査しに出かけました。5月3、4日がピークだったようですが、5月3日は、覚寺のサントピアから砂丘情報館まで2時間10分かかりました、駐車場の車は99.9%が県外ナンバーで、8割が関西ナンバー。各土産屋の駐車場はいっぱいで、バイトの整理員が頭を下げていました。県営駐車場のキャパは325台ですが、これにも入れず、係員はその先に誘導する。オアシス広場にとめて何か交通手段があるかと思ったら何もなく、30分歩いてこられるという人が多かったようです。
西側の方はどうかというと、こどもの国の手前で車が動かなくなり、トイレを探して親子がさまよっている光景もありました。
つまり、砂丘はもうキャパがいっぱいであり、この時期の観光客をほかに分散させることを考えなければいけない。現状ではその情報が足りない。砂丘以外の観光地の情報が提供できれば、観光客を分散できるはずです。

○木村観光コンベンション推進課長 この連休の状況で、砂丘一辺倒の鳥取の環境の現状がはっきりしたようです。全体として前年度よりはいい状況ですが、課題もはっきりしました。観光客目線で砂丘以外の観光資源を改善していかなければいけないと考えています。

○委員 この連休に初めて、ゴールデンウィーク期間の鳥取観光コンベンション協会の営業をしました。そうしたら、電話がひっきりなしにかかってきました。ホテルや旅館もたくさんあっせんできました。いい印象をもっていただけたのではないかと思います。逆に例年はこの客を取りこぼしていたということです。
話を戻して、今年度の議題ですが、これまでやってきた「ふるさと麒麟回廊」の内容をより掘り下げて議論していきたいと個人的に考えています。皆さんの意見をお聞かせいただけたらと思います。
それぞれ皆さんに連休中の状況や、このことについての意見をお話しください。

○委員 佐治は通過型の観光地ではなく目的地なので、とても多いというわけではないです。例年で言えば1日に200〜300人。雨が降ると多くなりますが(これはわらべ館も同じとのことです)、今年は天気がよくてその効果はあまりなかったようです。
「ふるさと麒麟回廊」といういい提案があるので、市民やいろんな方の協力をいただいた方がいい。施設のサービス、案内のサービスなど充実していかないと満足していただけないと思います。

○委員 池田墓地に毎日行きましたが、平日と変わらず連休という感じがしませんでした。また、最近は、私があまりきれいでない格好をしていることもありますが、お客さんの方から話し掛けてくるということはほとんどなくなりました。こちらから話し掛けないと、明るい声が返ってくるんですが。ただ、平日でも県外の方が多く来ていただけるようになりました。毎日100組、250人くらい。
まだ文化芸術の方の話をぜんぜんしていないのではないかと思います。まだまだたくさん話すべきことがあるのでは。

○委員 こないだ大手の旅行代理店にあってこのような話をしたところ、「鳥取市には観光のグランドデザインがない」と言われました。8次総を実施する中で、観光のグランドデザインを造っていく必要があると思います。
たとえばこの「ふるさと麒麟回廊」を実際の観光客誘致につなげていくときに、地図上にこの6人が関係したところを具体的に落として、動線としてつなげていかなければいけない。カタログに「吉田璋也」という文字があるだけではだめで、実際に彼が活動したところに行ってみて、手にとって見て、次に誘導していくということが必要です。
これまでは麒麟=麒麟獅子というような“one source, one use”だった。ところが回廊というものにすることで、one source をmulti-useに使っていける。具体的に「麒麟」を観光商品としてどう落とし込んでいけるか、それをこの部会の中で提案していくことが重要だと思います。そうしなければ「ふるさと麒麟回廊」が継続的な取組み、プランにならないのではないか。舞鶴市の観光計画を見せてもらいましたが総合計画くらいの濃い内容でした。この部会としてはそういうプランを政策的に位置付けてもらうよう提言していくべきだと思います。

○委員 うちのホテルモナークは、連休中の稼働率が73%。ビジネスユースは少ないはずなので、客は多かったと思います。里帰りの人が昼間は家にいるけど夜はホテルに泊まるという傾向が最近あるようです。
こないだ佐賀に行ったら「ふるさときらめき回廊」という表示がいたるところにしてあった。
「ふるさと麒麟回廊」というのは良いので、これを幹として、麒麟獅子と、岡野貞一や尾崎放哉がどれだけかかわりがあるかどうか分からないが、こじ付けでもいいから、枝葉をつけていけばいいと思います。

○委員 「ふるさと麒麟回廊」を進めていくのが良いと思います。回廊に人を誘導していけばいいと思います。「ふるさと麒麟回廊」のデザインポリシーをつくり、すべてにそれを押し付けていく。この6人を基にしていろんなものをつなげていく。
パンフレットにしても何にしても、鳥取はいろんなものがばらばらにあって、1つ1つは良くてもつながりがない。統一性が必要だと思います。

○委員 この市政懇話会がどこまで担えるかということがあると思います。あと5、6回しかないという回数の問題もあります。
吉田璋也で言えば、手作り、体験、砂丘、吉岡という展開も可能ですが、誰に体験の受け皿作りを頼むのか。この会では言うだけでよいのか。この会では、このプランの内容を煮詰めていって、実現性の高い提言をしていけばいいと思います。

○委員 この会では提言をし、観光協会などに投げるというように線を引いておけばいいと思います。また、この会では提言した内容の「検証」もできたらいいと思います。

○委員 「ふるさと麒麟回廊」もう少し推し進めてみないと何も言えないのでは。観光客には県内の人と県外の人がありますが、例えば岡野貞一さんのプランでは、県内の観光客相手であれば、ここに出ているようなものでもいいかもしれませんが、果たして県外の観光客がこれで満足してもらえるか。わらべ館だけで充分なのか。もう少し煮詰めていった方がいいと思います。
大国主命について。白兎海岸を皆さんがどうとらえておられるかわかりませんが、潮が引いたときには、気多の岬と淤岐島の間にはまるでわにざめが並んでいるようなごつごつした岩が出てきます。これが神話の基になったのではないかというような光景です。もっとそれを売り出したらどうか。5月5日に通りかかったときにはベタなぎで迫力がありませんでしたが。たまにしか見れないというのもロマンがあります。いついつ見られるという紹介をしたほうがいいと思います。

○委員 議事録を読ませていただいて「ふるさと麒麟回廊」はとてもいいと思いました。鳥取を総括するイメージの背骨がやっとできたと思います。それに手足をつけていくことが必要だと思います。
建築家の人と話したときに、民間と行政がいっしょにした仕事するときには、行政から民間に主体が移ったらたいてい尻すぼみになってしまうということを言われました。つくろうというときの熱意が運営者に伝わらないようです。熱意という意味では、行政に頼らず、民間の人が熱意を持ち、情報を持って尻すぼみにならないようにチェックしていかなければと思います。
5月の連休の最後に砂丘と智頭に鳥取市20年住んでいる人を連れて行ったら、鳥取にこんないいところがあるんですねといわれてさびしかったです。砂丘は馬の背ではなく、ゴルフ場のクラブハウスの食堂に行きました。日本海まで一望できるすばらしいところです。何とかいろんな人に知っていただきたいと思います。

○委員 「ふるさと麒麟回廊」は好きです。いいネーミングだと思います。麒麟にこだわると考えが浮かばないが、麒麟は「冠」だと思って自由にイメージを広げればいいと思います。
人を中心に観光をというのは面白いが、どうやっていくのかが難しい。6人をどう生かしていくかというのはまだ考えが浮かばない。
もともとの重点課題にある「文化財の保護・活用」、「砂丘の観光活性化」、「広域連携による周遊観光」の3つに絞って「麒麟回廊」を構築していけばどうかと思います。

○西澤企画推進部長 せっかく「ふるさと麒麟回廊」というコンセプトを提示していただいたので、これを突っ込んで話していただけたらと思います。6人を軸に「ふるさと麒麟回廊」のトータルコンセプトを煮詰めていただければ。

○林副市長 観光と人をつなげていくというのが新しいと思います。これを中心に、またあまりこだわりすぎず新しいアイデアを出していただければと思います。
財政が厳しい中、行政だけではできないので、市民の皆さんにも力を出していただいて、一緒に知恵を出していきたいと思います。

○木村観光コンベンション推進課長 どの地域では何をやるというような因幡全体での観光の連携を図っていく必要があると思います。
また、観光グランドデザイン会議と市民とのつなぎを行政がやっていかなければいけない。行政の責任で調整を行い、市民の参画を促し、我々も主体的にやっていく。

○井上スタッフ 非常に皆さんにありがたい御提言をいただきました。「誰がするのか」というのがまさに気になっていたところです。この場では皆さんにはお話をいただくだけですが、すでに活動されている方もあるわけですし、お話いただくだけでなく行動で示していただきたいとも思います。この会で得た情報を生かして「我々がガイドだ」というようになれればいいと思いますし、そのための情報を集めていければいいのではと思います。
鳴門の渦潮の時刻表のように、兎の背渡りの時刻表を作って、誰でも見れるようにしておけばいいし、ほかにも同じように情報をたくさん集められたらと思います。

○委員 「岡野さんについて案内してほしい」という観光客があれば、そういう方々に対応できる人材育成も必要ではないかと思います。

○木村観光コンベンション推進課長 池田墓地で言えば沖さん、福本社長のところにはガイドハイヤー、観光協会にも観光ボランティアがあります。今年の秋ぐらいには旧市内のいろんなところを案内するガイドツアーを動かそうと思っています。そういう、素材を観光客に魅力的に提示するガイドの養成は怠らずにやっていきたいと思います。

○委員 ボランティアガイド友の会では14〜5名が活動しているが、高齢者がほとんど。次の世代につなげていかなければ。また、やる気を持ってやっている方もあると思いますが、「認知されていない」、「やりがいがない」と言われる方もあります。評価されたいと思うけど、評価もされない。私は、ガイドは有料を、インタープリターをめざすべきだと思います。

○委員 これからの作業として、ロードマップを作って行かなければいけないと思います。重要な観光地に道しるべ、フラグを立てていく。
そのときの価値付け、統一性をつくるには「技術」が必要であり、プロにゆだねる必要があると思います。それに必要な若干の予算立てはしてほしい。舞鶴でもそんなに大きくはない予算で、旅行業者にも入ってもらってやっています。旅行業者が入ることで中央の情報も入ってくる。
また、ガイドについては、団塊の世代が地域に貢献したいといったときにトラベラーアテンダントとして活動してもらう。有料であれば評価が厳しくなり、うまい人が残るし、何回もガイドすれば説明が上手になる。
観光は鳥取の産業になっていくと思います。この会がそのトリガーになればと思います。

○委員 鳥取には歴史的に産業がまったくなかった。32万石と威張っていただけ。格子戸商法というので、格子戸から旦那さんが外を眺めていて、客が入ってきたら売る、待ちの商売。
だから、観光を産業にというのには大賛成です。

○委員 こないだ行った有田では、旅館に泊まる人が減ったので有田焼が売れないということで、河川敷に桟敷を敷いて焼物を売っている。街並みも、昔ながらの街並みに統一的に変えるのに補助金を出している。その整備費用や許認可の関係がどうなっているか詳しいことは分からないがやるときにはしっかりとやるのがよい。

○木村観光コンベンション推進課長 行政が金を出す場合には、それでどれだけ効果が出るかを測らなければいけない。大掛かりな整備は緻密な計算の上に成り立つものだと思います。

○委員 鳥取の東部の観光産業の経済効果はどれくらいか教えてほしい。

○委員 産業と呼ばれるのは売上1千億円から。今いくら位か知っておく必要があると思います。

○木村観光コンベンション推進課長 ベッド数から言って50万泊としたら500億円くらいか。
姫鳥線はいいタイミングだったと思います。心配なのは観光客がたくさん来たときに買ってもらえる観光商品があるかどうか。この3、4年でそれをつくっていく必要があります。

○委員 観光は産業とか経済で測るより、「文化所得」という考え方をしたほうがいいと思います。文化というのは自分で価格をつけられる。ここにしかなくていいものなら1万円でも買ってくれる。その価格で得られるのが文化所得。

○委員 こないだ京都に言って心を打たれたのが、町屋文化を千代紙とかかんざしとか地場産業の人たちが協力し合って再興していこうとしていること。パンフレットなども行政に頼ることなくいろんなものをつくっています。

○委員 それでは、今年度の協議内容について、柱を決めたいと思います。委員から提案のあった「文化財の保護・活用」、「砂丘の観光活性化」、「広域連携による周遊観光」の3つに絞って「ふるさと麒麟回廊」を考えていくということでいかがでしょうか。

○一同 了承

○委員 その他、事務局には以下の資料を用意していただきたいと思います。(1)その他の視点については、アンケート形式で委員の意見をまとめること。(2)観光に関する経済指標を整理して委員に提示すること。

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