天文セミナー 第187回

『星の歳時記』



19.近日点

 天体の軌道を示す時、重要な要素の一つに近日点があります。もっとも、近日点は太陽系の天体の軌道をあらわす時に使われ、他の恒星などの場合には近星点と呼びますが。いずれの場合でも、最も重力が大きい天体、つまり主星に対して使われる用語です。

 地球を含む太陽系では、主星は言うまでもなく太陽ですね。従って、惑星などの軌道を示すときは当然太陽が基準になります。ところで、地球の近日点通過は毎年ほぼ1月初旬、反対の遠日点通過は7月初旬になります。これは、地球の公転軌道が真円ではなくて楕円である事に原因があります。

 1600年代初めに、チコ・ブラーへの残した観測を研究して、ケプラーは惑星の運動を突き止めました。いわゆるケプラーの方程式です。この方程式によると、惑星は楕円形の軌道を移動し、その焦点の一つに太陽があります。これは、天体の運動は円錐曲線と呼ばれる曲線に沿って運動することを示しているのです。そして、この法則は太陽系だけでなく、他の惑星系、先月の惑星を持つ恒星系にも当てはまります。

 このように楕円形の軌道を移動する地球は、太陽に最も近い場所と遠い場所があります。最も近い場所を近日点、最も遠い場所を遠日点と呼びます。この場所を地球が通過するのがそれぞれ1月初旬と7月初旬なのです。そして、その差は500万km。地球から太陽までの距離1億4960万kmに比べて、その変化の量は如何でしょう。大きいとも、小さいとも、それぞれ人によって感じ方は違うでしょうが。

 星のお話を頼まれて出かけたとき、太陽までの距離が近い冬に寒く、太陽が遠い夏が暑いのは不思議だ、と聞かれることがあります。実際には、夏冬の太陽までの距離の差は気温にはほとんど影響していないことが判りますね。

  夏冬の  気温の違い  太陽(ひ)の高度       香西蒼天

 結局、気温の違いは太陽が真南に来た時の地平線からの高度の違いが原因なのです。

北半球と南半球では、季節が反対になります。従って、南半球では暑い1月に太陽が最も近く、寒い7月には太陽は最も遠いのです。この原因は、地球の自転軸が公転面に対して23度半ほど傾斜していることなのです。

 蛇足を加えますと、1月の太陽の見かけの大きさと7月の大きさを比べると、1月の方が大きいことはおわかりですね。冬に起きる皆既日食より、夏に見られる皆既日食の方が平均すると継続時間が長くなるのも、太陽と地球の距離が変わることに由来します。

  太陽の  恵み生かして  エコの冬      香西蒼天

筆者の駄作、お粗末でした。


2013年1月の星空

(ここをクリックすると大きな画像になります)
2013年1月の星空です
秋の四辺形が、ずいぶんと西の空になりました。
南から東にかけては、冬の星でいっぱいです。
1等星がたくさんありますのでとでも賑やかな星空ですが、
その中で一番目立つのは、
私たちの太陽系で最大の惑星「木星」でしょう。


次 回も、お楽しみに

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