鳥取市

病気にかかわる人の人権問題について更新日:

1 現状と課題

 医療技術の進歩や医療体制の整備が進んでいる一方、さまざまな病気に関する正しい知識と理解が十分に普及していないために、病気に対する偏見や誤解により病気にかかわる人が人権侵害を受ける現状があります。

 病気にかかわる人が抱える生活上の問題を人権問題として捉え、その解決に向けた取り組みが必要です。

 「ハンセン病(※1)」は、国による隔離政策と官民一体となって行われた「無らい県運動」により、社会全体にハンセン病が恐ろしい病気であるという誤解を与え、差別や偏見を助長してきました。

 ハンセン病回復者が、はじめて故郷に埋葬された事例が本市にはありますが、平成8(1996)年「らい予防法」が廃止され、平成21(2009)年に「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」が施行された現在でも、社会的には根強いハンセン病への差別・偏見が存在しており、ハンセン病回復者やその家族が安心して暮らせない現状があります。

 HIV(※2)感染者やエイズ患者等に対し、正しい知識や理解の不足から、病気そのものや患者・感染者を特別視する差別意識が存在しています。

 精神疾患に対して、古くからの慣習や風評、不正確な事件報道や情報等により、正しい知識等が伝わってないことから誤解や偏見が生じています。このことから、職場や地域で患者が疎外されたり排除されることがあります。

 難病は、原因が分からなかったり、治療方法が未確立であり、また、症状が慢性的となったり、又は進行性があるために、患者及びその家族が日常生活を送る上で、経済的負担をはじめ、さまざまな問題が生じています。

 また、厚生労働省が指定している難病のほかにも社会的に十分認識されていない病気もあり、可能な限り当事者の社会参加を進めていくためにも、社会の一層の理解を求めていく必要があります。

 64歳以下の人の認知症を「若年性認知症」と言いますが、働き盛りの世代に発症する「若年性認知症」は、経済・就労・子育て等の面で当事者やその家族に与える影響が大きく、社会的にも問題になっています。また、認知症は高齢者が発症するものという誤解や偏見により、年齢が若いと認知症であることに結びつかず、早期発見・早期治療により病気の進行を遅らせる機会を逸することも少なくありません。さらに、社会の認知症に対する否定的な見方がある中で認知症であることを周りの人に知られることで、不当な扱いや疎外されることを恐れて、誰かに相談しづらい現状もあります。

 また、患者側の人権を重視し、治療側との信頼関係のもとで安心して治療を受けることができる医療が求められています。医療従事者から自分の病状について十分説明を受け、同意した上で治療を受けるインフォームド・コンセント(※3)の確立など、患者の立場に立った医療を行うことが求められるとともに、病気等に関する患者や家族のプライバシーの保護が求められています。病気にかかっている人や家族の人権に十分に配慮していくことが必要です。

2 施策の推進方針

  1. 「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律(平成21(2009)年)」の施行を踏まえ、ハンセン病回復者やその家族が名誉を回復し、地域社会から孤立することなく、良好かつ平穏な生活を営むことができるよう、ハンセン病の正しい知識の普及・啓発を行い、偏見や差別の解消を図るため、関係機関と連携して教育・啓発に取り組みます。
  2. 感染症等に関する市民への情報提供を正確かつ迅速に行うとともに、相談を受け付けます。
  3. 精神疾患や難病を含む病気や感染症に対する正しい知識や情報の普及と啓発に努めます。
  4. 若年性認知症については、県等関係機関と連携を取りながら、当事者が集い、情報交換等を行う活動を支援するとともに、正しい理解の普及・啓発に取り組みます。
      また、県等と連携し、早期発見・早期治療につなげるための相談やサポーターの育成などの支援を行います。
  5. インフォームド・コンセントの確立と、医療・保健・福祉など関係機関との連携を図りながら患者の心情を理解し、患者の立場に立った医療の推進を図ります。また、患者や家族等の病気等に関するプライバシー保護について、特段の配慮をするように関係機関の職員の意識啓発に努めます。

※1 ハンセン病

 ノルウェーの医師ハンセンが発見したライ菌の感染によって起こる感染症のこと。ライ菌の伝染力はごく弱く感染しても発病することは極めて稀だが、潜伏期は3年から20年にも及ぶことがあるため、かつては遺伝病と誤解されたこともあった。仮に発症しても現在では、治療法も確立され確実に治癒できる病気である。

※2 HIV(Human Immunodeficiency Virus)

 ヒト免疫不全ウイルスのこと。一般にヒトに免疫低下を起こすウイルスとその感染による免疫不全症候群(エイズ 後天性免疫不全症候群)と合わせて使われることが多い。

※3 インフォームド・コンセント

 患者個人の権利と医師の義務をさす言葉。患者には医療上の自己の真実を知る権利があるので、医師は個々の患者が理解し納得できるように説明する義務がある。

★ハンセン病については、これまでの政府の取組等を法務省のホームページで紹介しています。

法務省のホームページへリンク

 

このページに関するお問い合わせ先

人権政策局 人権推進課
電話番号:0857-30-8071
FAX番号:0857-20-3945

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