今、暮らしを支える鉄道や路線バスなどの「生活交通」は、利用者の減少や運転手不足を背景に、路線の縮小や廃止が続き、大変厳しい状況になっています。生活交通がなくなって一番困るのは、車を運転できない高齢者や子どもたちです。誰もが安心して暮らせる地域をつくっていくために、その基盤となる生活交通を創り、守り、育てていくための取り組みをみんなで考えていきましょう。
民間バス路線「横枕線」の廃止に伴い導入された「大和ふれあいタクシー」
人口減少、少子高齢化の進展や自動車に依存した生活スタイルが進み、特に路線バスの利用が大幅に減少しています。
さらに、運転手不足が深刻化しており、本市では、昨年3月に民間バス路線「横枕線」や河原、用瀬、佐治の南部地域を運行する乗合タクシーが相次いで廃止となりました。その代替交通として、地域や市が主体となり運行する「共助交通」などを導入し、地域の生活交通を確保しています。
このような状況は今後さらに深刻化し、近い将来、バス路線の縮小や廃止が急速に進む、極めて厳しい状況となることが懸念されています。
平成21年 | 令和元年 | |
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市の65歳以上人口 | 44,490人 | 54,100人 |
免許保有者数(65歳以上) | 17,797人 | 29,381人 |
免許保有者率(65歳以上) | 40.0%→ | 54.3% |
路線バスなどの主な利用者層は高齢者ですが、高齢者人口に占める運転免許保有者の割合は増加しています。
平成20年調査 | 平成30年調査 | |
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通院先まで自家用車(自分で運転)を使う人の割合 | 52.1%→ | 59.0% |
買い物先まで自家用車(自分で運転)を使う人の割合 | 66.7%→ | 71.8% |
買い物や通院の移動手段として、自家用車を利用する高齢者の割合が上昇しています。
運転手の高齢化が進んでおり、このままの状況が続くと、近い将来、運転手が大幅に減少することが予想されます。
10年間でおよそ46万人減少。この傾向が続いた場合、令和12年には、年間利用者数は233万人になる予想です。
生活交通を確保するために必要な財政支出は増加傾向にあります。平成30年度はおよそ3億1千万円で、このうち民間路線バスに対する負担額はおよそ2億3千万円を占めています。今後も、利用者の減少による赤字補填の増額や、運転手を確保するための賃金アップ、バス車両の維持コストの増額など、財政支出が増加していくことが見込まれます。
生活交通を取り巻く環境は厳しさを増し、交通事業者だけでは守ることができなくなっています。
本市では、このような状況を踏まえ、各地域の実情にあった持続可能な生活交通を創り、守り、育てるための取組の方向性をまとめた「鳥取市生活交通創生ビジョン」を本年3月に策定しました。
今後、このビジョンに基づき、まずは、市民のみなさんに生活交通の現状について知ってもらい、それぞれの地域の実情にあった最適な生活交通の確保策について、一緒に考え、取り組んでいくこととしています。
路線バスの減便や廃止となった地域において、 NPO法人やまちづくり協議会が主体となって有償で運送を行うことができる「共助交通」を推進しています。この取組は全国的にも広がりをみせており、本市では、ガソリン代や運転手の人件費、車両の購入費など運行に必要な経費などを補助する支援制度を設けています(詳しくは、本市公式ホームページでご確認ください)。
現在、この制度を活用いただき、末恒地区や大和地区、福部地域で共助交通に取り組まれています。共助交通は、地域住民が主体で運行されますので、それぞれの地域の実情にあった利便性の高い運行を行うことができます。
末恒地区の「ふるさとバス」
福部循環バス「らっちゃんバス」
生活交通を守る最善策は、みんなで利用することです。市の生活路線の1人あたりの平均運賃は約180円です。5歳以上の市民が今より年10回(5往復)多く路線バスを利用した場合、年間およそ3億2千万円の収益が見込め、民間路線バスの維持に係る補助金(約2億3千万円)をすべて賄うことができます。
また、生活交通を利用することで、環境保護や健康増進にもつながります。今は自動車を運転している人も、将来的には生活交通を必要とする時が来ることを考え、今から積極的に利用しましょう!
※購入の際に、健康保険証、運転免許証など住所、氏名、年齢を確認できるものが必要となります。また、免許証を返納した人は、運転経歴証明書、65歳以上の人は顔写真1 枚が必要となります。詳しくは、本市公式ホームページでご確認ください。
※申請には定期券の原本が必要になります。紛失しないように大切に保管してください。
※助成内容の詳細は、本市公式ホームページでご確認ください。