水星探査機「ベピコロンボ」の地球スイングバイを観測登録日:
4月10日(金)、水星探査機「ベピコロンボ」の地球スイングバイがあり、鳥取市さじアストロパークからも観測できました。
水星探査機「ベピコロンボ」は日本とヨーロッパが合同で、太陽に一番近い惑星「水星」を探査するもので、2025年の水星到着を目指しています。
ベピコロンボの地球最接近時は日本から観測できませんでしたが、日が暮れた19時過ぎ以降、地球からどんどん離れていく様子を、103cm反射望遠鏡で撮影することができました(この時、地球から約12万km)。
下画像(19時52分に撮影)の真ん中で点に写っているのが、水星探査機「ベピコロンボ」です(探査機の移動に合わせて望遠鏡を動かしたので、星が線を引いて写っています)。また、合わせてベピコロンボの明るさの測定もおこないました。
日時(UT) | 明るさ(V等級) | 鳥取からの距離 |
19時12分頃 2020 04 10.4252 |
12.30 V +/-0.15 | 105,600km |
20時5分頃 2020 04 10.4620 |
12.54 V +/-0.05 | 119,600km |
20時41分頃 2020 04 10.4868 |
12.68 V +/-0.05 | 129,300km |
21時21分頃 2020 04 10.5145 |
12.80 V +/-0.05 | 140,300km |
21時47分頃 2020 04 10.5330 |
12.92 V +/-0.05 | 147,600km |
22時13分頃 2020 04 10.5508 |
13.05 V +/-0.05 | 154,700km |
遠ざかるにつれて、だんだん暗くなり、明るさは12~13等でした。(目で見える一番暗い星6等星のさらに数百分の1くらいの明るさ)。
天気に恵まれ、これからの長旅を見送ることができました。
103cm反射望遠鏡で撮影した、水星探査機「ベピコロンボ」。2025年の水星到着まで、まだまだ旅は長い。
翌4月11日(土)も撮影可能な明るさという予報が出ていたので、観測にチャレンジしてみました。雲が広がり、撮れそうもない天気でしたが、24枚撮影して、4枚に写っていました! あまり良い画質ではありませんが、下の画像です(103cm望遠鏡に天文専用デジタルカメラを付け、20時22分に撮影)。明るさは16.6等、距離は鳥取から494,700kmです!
4月12日(日)、13日(月)は雨のため観測できませんでしたが、4月14日(火)の夜は快晴となり、3日ぶりにベピコロンボを撮影してみました。明るさは18.7等(V等級)でとらえることができました。(下の画像、矢印の天体)
2020年4月14日20時9分45秒(JST 撮像中央時) 103cm反射望遠鏡、短焦点化レンズ(F4.6)、天文用デジタルカメラ(冷却CCDカメラ)、Vフィルター、鳥取からの距離は1,550,800km。
4月16日(木)は22時頃から晴れてきましたが、少しかすんだコンディションでした。ベピコロンボも地球から200万kmを超える距離まで遠ざかりました。そろそろ、お見送りもラストになりそうですが、明るさは19.3等+/-0.2等と、なんとか写りました。しかし、Vフィルターでの観測は厳しくなってきました(ノーフィルターなら、もう少しがんばれそうです)。
明日からは雨という予報なので、やはり今夜でお別れのようです。水星までの道のりは、まだまだ長いですが、がんばれベピコロンボ!
2020年4月16日22時8分(JST 撮像中央時) 103cm反射望遠鏡、短焦点化レンズ(F4.6)、天文用デジタルカメラ(冷却CCDカメラ)、Vフィルター、鳥取からの距離は2,277,900km。
しばらく雨や曇りの日が続きましたが、4月21日(火)は夕方から晴天となり、ベピコロンボが写らないことを確認するために、103cm望遠鏡を予報位置に向けました。ところが、非常に淡いながらも、その姿をとらえることができました! 明るさは20.7+/-0.3等です。距離は3,979,300kmと地球と月の距離の約10倍も離れています。かなり見づらいので、画像の中心を500ピクセル切り出し、それを2倍に拡大したのが下の画像です。画像の左側には、うみへび座ゼータ星(3等星)があり、その影響でさらに見づらいですが、ポツンと写っています!!
2020年4月21日20時30分(JST 撮像中央時) 103cm反射望遠鏡、短焦点化レンズ(F4.6)、天文用デジタルカメラ(冷却CCDカメラ)、Lフィルター、鳥取からの距離は3,979,300km。
このページに関するお問い合わせ先
電話番号:0858-89-1011
FAX番号:0858-88-0103