とっとり市報 HTML版
2022.8 No.1144

【特集】みんなのジオパーク「地形・地質の博物館」山陰海岸ジオパークがおもしろい!

本市は、世界的に貴重な自然的・文化的価値を認められた「山陰海岸ジオパーク」のエリアに位置しています。しかし「ジオパークって聞いたことはあるけどよくわからない」という人も多いのではないでしょうか?今回は5月号にも掲載した「みんなのジオパーク」を特集に拡大してお届け。この夏、その魅力を再発見し、雄大な自然や文化を感じに出かけてみましょう!

山陰海岸ジオパーク推進協議会 TEL0796-26-3783FAX0796-26-3785
本庁舎観光・ジオパーク推進課(47番窓口) TEL0857-30-8293FAX0857-20-3947

『ユネスコ世界ジオパーク』とは?

ジオパークとは、科学的に重要で貴重な、または美しい地質遺産を複数含む自然公園のことをいいます。ジオパーク(大地の公園)という言葉から、ジオパーク=岩や地質のことだと思う人もいるかもしれません。しかし、実際は地域に根付く文化や歴史も、地形や地質に影響を受けています。漁業や温泉など地域特有の産業も、ジオパークの視点からみれば、その地形と密接に関わっていることが分かります。そこに生きる動植物や人々の未来も見据えたスケールの大きなプログラムなのです。

また、UNESCO(国際連合教育科学文化機関)は教育、科学、文化の協力と交流を通じて、国際平和と人類の幸福の促進を目的とした国連の専門機関です。ユネスコ世界ジオパークの目的は、国際的に価値のある地質遺産を保護し、それらがもたらした自然や文化への理解を深め、研究や教育、観光などに活用することにより、自然と人間との共生、そして持続可能な地域を実現することです。ユネスコ世界ジオパークの一員になるには、ユネスコの基準を満たす地質遺産とその保護や活用の活動実績があることが条件です。またその後も、4年に1度の厳しい再認定審査を受けなければなりません。山陰海岸ジオパークは、地形地質だけでなく、それらの保護保全や活用も世界に認められ続けているすごい地域なんです!

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国内のユネスコ世界ジオパーク

現在、世界でおよそ180の地域が、ユネスコ世界ジオパークに認定されています。日本では、山陰海岸を含む9地域が認定されています。

地図
国内にある「ユネスコ世界ジオパーク」

山陰海岸ジオパークの特徴

山陰海岸ジオパークは、東端の京都府京丹後市から西端の本市まで東西120キロに及ぶエリアです。日本海形成に関わる火成岩類や地層、海水準や地殻変動によるリアス海岸、砂丘など、貴重な地形・地質遺産が数多く見られ、およそ2500万年前の日本海形成の時代から現代に至るまでの過程を知ることができます。また、豊かな生態系も特徴の一つで、岩場や砂地、自然林などにそれぞれ特徴的な植物を見ることができるほか、コウノトリやオオサンショウウオなど、天然記念物に指定されている動物も多く生息しています。

本市では、これらの山陰海岸ジオパークの特徴が見られる地域「ジオサイト」を保護し、活用した自然とのつながりを楽しみながら学習する観光形態「ジオツーリズム」に行政や地域などが一体となり取り組みを推進しています。

みんなで盛り上げるジオパーク

山陰海岸ジオパークが世界ジオパークに認定されて12年。その活動を支えるのは、地元を誇り、盛り上げようとする地域のみなさんです。

訪れた人に感動を与えたい!

鳥取砂丘の南西にある多鯰ヶ池は砂丘が谷水をせき止めて作った、風光明媚な景観が広がる池です。「浜湯山・多鯰ヶ池活性化委員会」は、景観保全や活性化に取り組もうと、平成28年に地域住民によって結成されました。これまで、行政の補助金を活用しながらウッドデッキや木道の整備、イベント開催などの活動に取り組み、多鯰ヶ池を盛り上げてきました。「鳥取砂丘を訪れる人たちに感動を与えたい」という活性化委員会の活動は砂丘の魅力を磨き上げ、観光客にも地元にも愛されるジオサイトを築いています。

飼牛さん近影

ジオの恵みに感謝して活動

浜湯山・多鯰ヶ池活性化委員会 委員長 飼牛 明(かいごあきら)さん

私たちが暮らす地域は鳥取砂丘の目と鼻の先で、まさしくジオの宝庫といえます。観光産業だけでなく、地形・地質を活かしたらっきょう・梨の栽培なども盛んです。そういった恩恵を原動力に、多鯰ヶ池周辺の環境保全活動に取り組んでいます。活動によって少しでも多鯰ヶ池を訪れる人が増え、地域の観光や農業が安定することをめざしています。

写真:多鯰ヶ池全景、多鯰ヶ池木道、いかだレース

草原化から砂丘を守る!

鳥取砂丘では、1970年頃から本来砂丘に生息していない外来植物が見られるようになりました。外来植物の繁茂による砂丘の草原化は景観を損ね、砂を動かす風を遮るため、風紋や砂簾の形成の妨げにもなります。

そこで、平成16年から住民のみなさんや地元企業に参加していただくボランティア除草を実施しています。地元の宝をみんなで守るこの活動は、砂丘の景観保全の大きな支えとなっています。

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※近年は新型コロナウイルスの影響で十分な除草活動が実施できておらず、草原化が深刻化しています。現在、毎週土・日曜日に早朝除草を行っていますので、みなさんのご参加をお待ちしています。

新たな魅力創造にまい進!

白い砂浜と岩礁群の景色が美しい白兎海岸は、神話因幡の白うさぎや恋人の聖地で知られていますが、周辺には天然記念物のハマナスの自生南限地帯、岬に挟まれたプライベートビーチのような海岸など見どころ満載のエリアです。

この観光資源を活用し、さらなる誘客につなげようと、地元自治会や観光協会、市が「白兎周辺地域魅力創造会議」を組織し、新たな魅力創造に取り組んでいます。昨年は、白兎海岸西側の展望広場「白兎の丘」への遊歩道整備や、周遊マップの作成などを行いました。現在、待望の兎年を来年に控え、周辺地域を巡るスタンプラリーやお得なキャンペーンを実施中です(詳細は「ピックアップインフォメーション」の記事)。

写真:白兎の丘

めぐってみよう!ジオサイト

1ジオパークガイドと一緒にめぐる

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ジオサイトのご案内は、ジオパークガイドにお任せください!ジオパークガイドは山陰海岸ジオパーク推進協議会認定のガイド団体で、豊富な知識から各地域の見どころを面白く、ていねいに、安全にご案内します。ジオパークのプロと一緒に散策すれば、ジオサイトを何倍も楽しめること間違いなし!

2ジオパークトレイルコースでめぐる

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山陰海岸ジオパークエリアを横断する総距離230キロのロングトレイルコースです。奇岩、洞門、断崖絶壁の絶景など、多彩な海岸地形を楽しみながら歩ける27のコースに分かれ、1コースあたり5~15キロ程度で設定されています(本市内は7コース、総距離64.6キロ)登山道や未舗装路も多く、複雑な地形を楽しむハイカーなどにおすすめです!

3散策モデルコースでめぐる

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ジオパークトレイルよりも手軽に山陰海岸ジオパークの魅力を体感するには、散策モデルコースマップの活用がおすすめです(全40コース、本市内は10コース)。コース毎に見どころを示し、地形や地質だけでなく、歴史・文化、人々の暮らしなどを体感できるよう盛り込んでいます。

砂の美術館台14期展示:エジプト編は7月30日スタート