とっとり市報 HTML版
2023.4 No.1152

特集
ひとりぼっちをつくらない!地域社会の創造を目指す

問い合わせ先中央人権福祉センターTEL0857-51-0295FAX0857-24-8067

社会的な「孤独・孤立」問題

望まない「孤独・孤立」の状態にあり、生きづらさを抱えながらも「助けて」と言えない人たちがいます。「孤独・孤立」には、家族や集団、制度や社会的役割からの孤立など、さまざまなケースがあり、最悪の場合、「自殺」「孤独死」の引き金となってしまうのです。

「孤独・孤立」は、人生のあらゆる場面で誰にでも起こり得るもので、社会全体で対応しなければならない問題です。

現代社会の現状

現代社会では、人と人とが寄り添い、支え合うことが難しくなってきており、この「孤独・孤立」が大きな問題としてクローズアップされています。昔に比べ、家族間の関わり、地域との関わりが希薄になり、職場では、若い人の非正規雇用が増えています。「孤独・孤立」となる大きな原因の一つは、このような家庭や地域、職場における「環境の変化」だと言われています。

政府の対策

長引くコロナ禍の影響で、孤独・孤立は、さらに深刻な社会問題となっています。令和2年には、全国の自殺者数が11年ぶりに増加しました。新型コロナウイルス感染症の拡大により、生活環境が変化して、「孤独・孤立」の状態となり、心理的に不安定になったことが影響していると推測されます。

こうした現状を受け、政府は、令和3年2月に孤独・孤立対策担当大臣を指名しました。この大臣が司令塔となり、内閣官房に孤独・孤立対策担当室を立ち上げ、政府一丸となって、孤独・孤立対策の取り組みが始まりました。

グラフ
全国の自殺者数の推移(警視庁「自殺統計」をもとに作成)

つながる社会へ

一人でいること自体が悪いのではありません。ただ、何か問題が起こったとき、生活のしづらさや困難に直面したとき、誰にも相談ができない、どこにもつながらない、一人で抱えて苦しんでしまう人がいます。そのときに誰かに相談ができたり、気にかけてもらえる「つながり」のある社会に作り直していく取り組みが求められています。

本市の「孤独・孤立」に対する取り組み

「つながりサポーター」の養成

孤独・孤立支援についての研修を実施し、生きづらさを感じる人のSOSに気づける人材(つながりサポーター)の養成に取り組んでいます。

第1回養成研修は昨年12月に行いました。地域のボランティア団体のメンバー、民生委員や大学生など約50人が参加し、「孤独・孤立」問題の対策に取り組む専門家の講義や、グループワークを通して、つながることが支援になる「伴走型支援」について学びました。

シンポジウムの開催

今年2月、孤独・孤立の問題を広くみなさんに知っていただくため、「孤独・孤立対策官民連携プラットフォームシンポジウムin鳥取」を開催しました。会場にはおよそ300人が集まり、「つながる」ことの大切さについて考えました。

YouTube でシンポジウムを配信しています QRコード

つながりサポーター募集中

深刻化する「孤独・孤立」問題に対応するためには、まずは「つながる」ことが支援の第一歩になります。あなたの第一歩が、生きづらさを感じる人の未来につながります。今年度も、つながりサポーター養成研修を実施する予定です。興味のある人は、ぜひお問い合わせください。

孤独・孤立対策官民連携プラットフォームの立ち上げ

高齢、障がい、子ども、生活困窮といった分野別に分かれた福祉施策のはざまで、社会的に孤立する人の支援が課題となっています。こうした人を早期に把握し、支援につなげるためには、行政だけでなく、市民、事業者が連携して対策を進める体制づくりが必要です。

そこで、本市では、「孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム」を立ち上げました。このプラットフォームでは、行政だけでは把握できない孤独・孤立問題を把握し、支援を必要とする人をスムーズに支援できるよう、官民が連携して取り組んでいきます。

イメージ図
※さまざまな機関が複合的な課題を抱える世帯の支援について話し合う会議

<構成団体>

  • NPO 法人、協同組合、社会福祉法人、企業・団体、医療関係など
  • 庁内の関係する課

<連携内容>

  • 各団体が把握している住民の困りごとやニーズの共有
  • 各団体の強みやリソースを共有し、支援に活かす
  • 支援制度のないはざまの問題に対して、民間と連携して支援