パンスターズ彗星 P/2018 P3の世界初観測に成功登録日:
2024年1月26日(日本時間27日)、国際天文学連合天文電報中央局から発行された『CBET 5336』によると、鳥取市さじアストロパークで2023年11月15日に観測した彗星が、パンスターズ彗星 P/2018 P3 の今回帰世界初観測であると報じられました。
この彗星は2018年に発見され、周期5年ちょっとで太陽のまわりを周っています。2023年12月下旬に再び太陽に近づき観測できるようになると軌道計算から予想されていましたが、11月15日、さじアストロパークの103cm望遠鏡での観測で、この彗星の再び戻ってきている様子を確認し、これが世界初観測(「検出」と呼びます)であることが認定されたものです。
上の画像は、2023年11月15日18時28分に、鳥取市さじアストロパークにある103cm反射望遠鏡に天体専用デジタルカメラを付けて撮影したものです。明るさは20.6等で、左斜め上寄りに短い尾が確認できます。
彗星は主に氷でできた天体で、太陽に近づくと融けて明るく光って見えるようになります。多くの彗星は、長い楕円軌道で太陽のまわりをまわっています(周期彗星と呼ばれます)。周期彗星が新しく発見されると、太陽に近い間だけ観測されますが、太陽から遠く離れると暗くなり、観測できなくなります。そして再び太陽に近づくと観測できるようになりますが、これまでの観測期間が短いため、計算から予想される位置の精度悪く、場合によっては再観測されることなく、行方不明となる場合もあります(また、太陽に近づいても彗星活動がにぶく、観察されない場合もあります)。そのため、新発見された彗星が次に太陽付近へ戻ってきた時に再び観測することを特別に「検出」と呼び区別しています。検出されることで、軌道がより正確に計算できるようになり、以降、行方不明になる可能性が小さくなるのです。
鳥取市さじアストロパークでは、これまでの以下の4つの彗星の検出に成功しています。今回は5例目の検出となりました。
彗 星 名 | 検出日(UT) | 光度 | 掲載IAUC | 検出者 |
串田・村松彗星(147P) | 2000.10.03 | 20.2 等 | 7507 | 織部隆明 |
ミュラー彗星(149P) | 2000.12.22 | 20.5 等 | 7577 | 織部隆明 |
ヘリン・ローレンス彗星(152P) | 2001.12.24 | 19.5 等 | 7790 | 織部隆明 |
シューメーカー彗星(155P) | 2002.09.09 | 18.0 等 | 7969 | 織部隆明 |
今回の情報が掲載された『CBET 5336』はこちらでご覧いただけます。
このページに関するお問い合わせ先
電話番号:0858-89-1011
FAX番号:0858-88-0103