シリーズ@じんけん
Vol.427
人権尊重都市鳥取市の実現をめざして
9月10日~16日は自殺予防週間です

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本庁舎人権推進課 電話0857-20-3143 ファクス0857-20-3052

自死について

平成18年に「自殺対策基本法」が制定され、自死は「個人の問題」から「社会の問題」として広く認識されるようになり、国を挙げて自死対策が進められてきました。また、「自殺」という言葉は、遺族の方などの心情に配慮し、法律や統計用語などを除き、「自死」とする言い換えが進んでいます。

自死は、その多くが過労、生活困窮、育児・介護疲れ、いじめなどさまざまな社会的要因が関係して心理的に追い込まれた末の死であると言われています。

例えば、何か困ったことがあっても「地域の人を知らないから頼れない」「周りに迷惑を掛けられない」というプレッシャーを感じたり、社会に浸透している「自己責任論」「男らしく女らしく」といった価値観によって、「自分には価値が無い」「こうなったのも自分の責任」と感じ、自分に自信が持てなくなり、生きる意欲を失う状況へと追い込まれてしまう場合も考えられます。

「ゆるやかな自死」とは

日本の自死者数は、平成22年度以降は減少傾向にある一方で、自死に含まれていないが自死と考えられるようなケースとして、セルフネグレクトや依存症による孤独死、事故死が挙げられています。

食事を摂らない、病院に行かない、お風呂に入らないなど、自身の心身の健康を自ら損なう行為を「セルフネグレクト」と言います。また、アルコールや薬物、ギャンブルなどへの依存症など、生活に必要な金銭を浪費してしまう行動も、セルフネグレクトと共通する点があります。自分を大切にできないこれらの行為は「ゆるやかな自死」とも言われています。

自死遺族を取り巻く現状

自死は、個人的な問題でも、家族単位の問題でもありません。しかし、現状では自死によって家族を失った遺族は家族の突然の死の悲しみに加え、輪をかけてつらい思いをしてしまうような状況もあります。

自死に対する誤解や偏見による言葉や、一見すると気遣いや心配をしているように思えても、遺族にとってはつらい言葉と感じることもあります。時には賃貸物件で自死が起こった場合の家主側から遺族への多額の損害賠償請求など、法的な問題が立ちはだかることもあります。

このような状況があると、家族を自死によって亡くしたことを隠して生活しなければならなかったり、家族の死を防げなかった自分を責めてしまったりします。

誰もが暮らしやすい社会へ

一人一人がかけがえのないたった一人の人間です。何か困ったことやつらいことがあるときは、安心して「助けて」と言える社会が必要です。私たちを取り巻く社会の環境や価値観、考え方を変えていくことが、自死を防ぐことにつながります。いま社会の中にある生きづらさを減らし、誰もが安心して暮らせる社会にするために、私たちにできることを考えてみませんか。

◆今回の記事は、とっとり自死遺族自助グループ「コスモスの会」にお話を聴き、参考とさせていただきました。コスモスの会では、大切な人を自死によって失った方が集まり、語り合うことで気持ちを分かち合う「分かち合いの会」を開いています。

コスモスの会
(世話人)厨子 ☎090-3172-2111
(事務局)尾崎 ☎0857-22-0606

とっとり市報2018年9月号の特集「1人で悩まないで・・・~みんなで支え合うまちへ~」もあわせてご覧ください。本市公式ホームページでご覧いただけます。