とっとり市報 HTML版
2020.8 No.1120

ギャラリーでは、毎年、しゃんしゃん祭りをテーマにかわいいオリジナルグッズを特集しています
秋の上演に向けて、舞台「じゆう劇場」に取り組むみなさん
  • 本庁舎文化交流課
  • 0857-30-8020
  • 0857-20-3040

本市では、「鳥取市文化芸術活動緊急応援プロジェクト」として、このたびの新型コロナウイルス感染拡大により打撃を受けている民間のミュージアムや劇場、ギャラリーなどに対する支援制度を創設しました。

今回は、鳥取の文化芸術の第一線で活動するお二人にお話を伺いました。

ギャラリーの今を発信する 

コロナ禍中でのネット上では人を許さないような誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)を多く見かけました。そのような情報に触れるとつらい気持ちになり、「想像力」がもっと豊かであれば違った考え方もできたのではと思うことがありました。みなさんも同じように感じられたのではないでしょうか。

生きる上で大切な「想像力」には、周りの環境や文化芸術が深く関わっていると思います。文化芸術とは、非日常のようでいて実は想像力を培う大切なツールのひとつであり、人と人の間にあるさまざまな問題を解決する糸口になると思います。

新たな挑戦へ

ギャラリー運営はここ数年は順調に推移していましたので、新型コロナウイルス感染症の影響で街もギャラリーも閑散とした日が続くことになるとは思いも寄りませんでした。予定していた個展やグループ展、県外からの作家さん全てに連絡を取り合い当分の間、中止や延期としました。先が見えない状況ではありましたが、今後のギャラリー運営についてじっくりと考えることができました。
前を向いてできることからやってみようと新たなことに挑戦する力が湧いてきました。

作家さんと一緒に

以前から構想は練っていましたが、今回のコロナ禍がきっかけとなり、ユーチューブ動画「ギャラそらチャンネル」をスタートさせ、同時にインターネットショップも開設しました。情報発信の幅が広がったことで、これまでより多くの人とつながることができ、鳥取の手仕事品やアート作品、作家さんたちの魅力を伝えていくことができると思っています。

ギャラリーと作家さんは、ある意味運命共同体です。
作家さんも新たな作品作りに挑戦しておられますので、ギャラリーとしても楽しい企画をたくさん考え作家さんたちと一緒にアートの力で地域を盛り上げたいと思っています。みなさん、期待してください。

安井 敏恵 / Toshie Yasui

2003年にギャラリーそら開設。2013年に併設のギャラリーショップそらをオープン。五感を刺激する素敵なモノとの出会い、新しいつながりが見つかるギャラリー。鳥取市の文化の発信基地として、心地よい空間の提供を目指す。
YouTube で「ギャラそらチャンネル」公開中。

鳥取市文化芸術活動緊急応援プロジェクト

文化芸術の担い手による民間ギャラリー活用支援事業

市内にある民間の常設ギャラリーを活用し、美術・工芸等の担い手作家が作品展を実施する場合に奨励金を交付することで、本市で活動する作家の発掘・育成につなげます。

対象者
市内在住の美術・工芸の担い手作家
奨励金額
市内在住作家の個展等開催に対する経費を助成。(上限額:10万円/年2回)
お問い合わせ
文化交流課(電話:0857-30-8020)

人と人の間に生まれる幸せ 

幸せに生きるためには、もちろんお金やモノも大切ですが、物質的な幸せは意外と長持ちしません。でも、「親切にしてもらった幸せ」や「困った人をちょっと助けてあげることができた幸せ」、そういった人と人との間に生まれたものは、長く私たちの心を温めてくれます。そういった面で、鳥取という地域には人と人のいたわりあいや、優しさが残っており、いいところを見つめ直して、もっと表に出していくことで、すべての人にとって、もっと魅力的な地域となると思います。

演劇の持つ力

人と人の直接の出会いを(はば)む現在の状況は、人との出会いの中でしか生まれない喜びの存在、その大切さを浮かび上がらせました。現在、秋の上演に向けて、「じゆう劇場」という活動に取り組んでいます。障害のある人とない人がいっしょに舞台を作り、共に生きることの喜びを分かち合い、現在の課題を語る作品です。
アメリカなどで人種差別の問題が注目されていますが、私たちの社会にもたくさんの課題があります。アート(演劇)は、本当の幸せについて考える機会を提供してくれます。

地方での「ものづくり」

今回のコロナ禍では、地方で活動することのメリットが多く出たように思います。3・4月は大都市ではリハーサルの実施すら難しい状況でしたが、私たちは稽古(けいこ)だけなら可能でした。新しい試みとして上演のライブ配信を行い、七千人以上の観客に見てもらいました。 今年9月開催の鳥の演劇祭も、招聘(しょうへい)予定だった海外劇団をすべてキャンセルしましたが、仮設の野外劇場やドームを作ったりして、演劇との出会い方について新しい提案をし、演劇祭の価値を広く示したいと思っています。地方に移住することが芸術体験の機会を捨てるというのは、過去の話です。

改めて、大都市で「ものづくり」をすることの、いろいろなコストやリスクをみなさんが意識されたのではないかと思いますし、反対に地方の落ち着いた環境がどれほど価値があることか、気づかれたことと思います。これを機にものづくりを地方でやることが一層加速して行けば良いと思います。

中島 諒人 / Makoto Nakashima

2006年より鳥取に劇団の拠点を移し、“鳥の劇場” をスタート。二千年以上の歴史を持つ文化装置=演劇の本来の力を通じて、一般社会の中に演劇の居場所を作り、その素晴らしさ・必要性が広く認識されることを目指す。

鳥取市文化芸術活動緊急応援プロジェクト

地域でがんばる民間ミュージアム等応援事業

市内にある民間の展示館・劇場・映画館・ライブハウス等の入場券を本市が購入し、市民などに提供することで、施設のPR と集客増につなげます。

対象者
市内で入館(場)料を徴収する常設型施設(展示館・劇場・映画館・ライブハウス等の文化芸術関係施設)を運営する事業者 ※その他 一定の条件があります。
購入金額
4月から6月までの入館(場)料収入と前年同期間の収入の差額以内。(上限額:50万円)
お問い合わせ
文化交流課(電話:0857-30-8020)