とっとり市報 HTML版
2020.10 No.1122

人権尊重都市鳥取市の実現をめざして〜パワーハラスメント対策が事業主の義務となりました〜Vol.434

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「労働施策総合推進法」が改正され、パワーハラスメント対策が法制化されました。

法改正により、令和2年6月1日から職場におけるパワーハラスメントの防止措置を講ずることが事業主の義務となりました(中小企業は令和4年4月1日から)。

パワーハラスメントとは

パワーハラスメント(パワハラ)は労働者の就業意欲を低下させたり、精神的な障害を引き起こす、重大な人権侵害です。厚生労働省が平成29年4月に公表した「平成28年度職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」によると、従業員からの相談で最も多いテーマがパワハラの32.4%となっています。前回調査(平成24年度)の22.0%と比べても増加しており、パワハラの予防・解決に向けた取り組みの強化が求められています。

従業員から相談の多いテーマ(2 つまで)※対象:相談窓口を設置している企業

出典:厚生労働省「平成28 年度職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」

法では、パワハラの定義を①優越的な関係を背景に行われること、②業務上必要かつ相当な範囲を超えて行われること、③就業環境を害することとしています。

具体的には、次の6つの類型に分けられます。①身体的攻撃(暴行・傷害)、②精神的攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・暴言)、③人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)、④過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の妨害)、⑤過小な要求(仕事を与えない、能力に比べ程度の低い仕事を与える)、⑥個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)が挙げられます。ただこれらの例はすべてを網羅しているわけではなく、個別の事案の状況などによってパワハラに該当する場合があることに留意が必要です。

パワハラをなくすために

事業主には、①パワハラの内容や行為者を厳正に対処すること、②相談窓口の設置、③相談者・行為者などのプライバシー保護、相談したことなどを理由として不利益取扱をされない旨を定め、これらを周知する義務があります。また、相談が寄せられた場合、迅速かつ適切な対応をしなければなりません。その他、アンケートによる実態把握や研修などを行うことが望ましいとされており、積極的に取り組むことが求められています。

同じ職場で働く人同士が、互いの価値観や違いを認め尊重しあい、職場のなかに存在する問題を見過ごさず、パワハラやそれに関連する行為を受けている人がいたら、孤立させないことが大切です。

さらに、パワハラを当事者や労働者だけの問題として考えるのでなく、社会全体の問題として、一人ひとりが関心をもち、許さないという意識をもつことも、予防・解決の大きな助けとなるでしょう。

人生のなかで多くの時間を過ごす職場が、誰もが安心して働くこと、過ごすことができる場所になるよう、みんなで取り組んでいきましょう。

◆ パワーハラスメントに関する相談はこちらへ

  • 鳥取労働局 総合労働相談コーナー
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