とっとり市報 HTML版
2021.02 No.1126

特集
みんなの居場所「地域食堂」から広がる交流の輪

地域の子どもたちに食事を提供する取り組みとして、全国で広がりを見せる「こども食堂」。その数はコロナ禍にあっても増加しています。本市において、こども食堂は「子どもたちが安心して過ごせる居場所」「地域のさまざまな人が集う交流の場」の特徴を併せ持つ「地域食堂」として、現在市内の18カ所で運営されています。

  • 中央人権福祉センター
  • 0857-24-8241
  • 0857-24-8067

本市の地域食堂

本市の地域食堂誕生のきっかけは、平成27年に開始した生活困窮世帯などの子どもを対象とした学習支援事業でした。この事業の中で、さまざまな理由で家庭での食事が満足にできていない子どもがいることが浮き彫りになりました。この子どもたちに食事の場を提供しようと、本市にこども食堂が誕生しました。

その後、「子ども」のみにとどまらず、高齢者や生活困窮者など多様な世代や立場の人を対象とする食堂が開設されました。これらの食堂は、地域の人が集い、つながる居場所としての重要な役割を担っており、「地域食堂」と総称しています。

平成29年11月には、地域食堂の活動が安定的かつ継続的に運営できるよう、食堂の運営者や、企業・団体、行政が一体となった「鳥取市地域食堂ネットワーク」が設立されます。ネットワークで相互に連携、協力をしながら各地で運営された地域食堂は、昨年度には月に2000人以上に利用されるまでになりました。

学習支援を受けられたり、子ども同士や学生ボランティアとふれあう楽しみも充実しています。
子どもの好きなものだけにせず、栄養バランスが考えられた地域食堂のメニュー。クリスマスにはケーキなどの特別メニューも。

全国から注目される本市の地域食堂

本市の地域食堂には、次のような特徴があります。

◆ 運営団体と地域が協力し旬の食材を使用したり、子どもや保護者などの参加者と一緒に調理するといった「食の提供」を行っている

◆ 勉強や絵本の読み聞かせ、体験学習などの「学習支援」を行う

◆ 参加者がホッとできスタッフも楽しめる「居場所としての役割」がある

◆ 地域のさまざまな人が参加することで「多様な人々が関わりを持てる場」である

このほかにも、利用者の状況やつぶやきから相談支援につながる体制があることや、地域食堂同士が食材の確保を相互補完的に行うこと、また、地域食堂と支援者の社会的なつながりが広がっていくことも、企業・団体・行政が一体となって取り組んでいるからこそできることであり、本市の地域食堂の特徴といえます。本市の地域食堂は「鳥取市モデル」として全国から注目されています。

地域食堂ネットワークの取り組み

地域食堂ネットワークでは、家庭で余った食材などを集め、各地域食堂で利用する「フードドライブ事業」を行っています。平成31年2月に日本郵便株式会社と連携し、因幡地区連絡会内の郵便局55局と鳥取中央郵便局にフードボックスを設置しました。みなさんからお持ち込みいただいたたくさんの食材は、地域食堂ネットワークを通じて各地域食堂へ分配し、運営に役立てられています。

行政と郵便局が連携してこども食堂を支援するこの取り組みは全国初のことでした。

フードドライブ事業のほかにも、地域食堂の活動に協力したい農家や企業、個人からいただく食材などの寄付を、地域食堂ネットワークが窓口となって受け取り活用しています。今年度からは、市内だけでなく麒麟のまち圏域にある地域食堂にも食材の分配を行っています。活動を継続していくため、引き続きみなさんからの温かいご支援をよろしくお願いします。

郵便局に設置しているフードボックスには、「賞味期限が1カ月以上先で未開封」のお米や調味料、レトルト食品などをお寄せいただいています。

今年度はコロナ禍で地域食堂が開催できない状況が続いていましたが、昨年9月に、地域食堂を利用する子ども達を応援しようと、ガイナーレ鳥取の選手と同じメニューを食べながらオンラインで交流を深めるイベントを開催しました。サッカーがうまくなるための心構えなど、選手ならではの貴重な話を聞きながら、参加した子どもたちは楽しい交流の時間を過ごしました。

また、本市を拠点に活動する実業団バドミントンチーム「チアフル鳥取」の選手とのスポーツイベントなど、スポーツを通じた交流にも取り組み、子どもたちが社会経験を積んでいく貴重な機会ともなっています。

地域共生社会の取り組みとして

地域食堂は、利用する人が抱える困難な課題を早期に発見し、問題が複合化、深刻化する前に世帯全体への包括的支援を行っていく入口としての役割を持っています。

また、地域食堂の運営者と参加者の交流だけではなく、参加者同士や、運営しているボランティア同士がお互いに支え合い、世代や分野を越えてつながる場としての役割も担っており、本市が推進する「地域共生社会」の形成に大きく貢献しています。

地域食堂ネットワークでは今後、地域食堂を市内の全ての中学校区に開設できるよう取り組みを進めていきます。併せて、運営体制の強化を図りながら、支援企業や団体と協力して、利用する子ども達にさまざまな体験の機会を提供していきたいと考えています。

鳥取市地域食堂ネットワーク
共同代表
((社福)鳥取福祉会理事長)
松下 稔彦(まつしたとしひこ)さん

私たち支援団体は、それぞれの企業がもつ社会・経営資源を未来の宝物である子どもたちや地元・地域に活用していこうと多種多様な支援を行っています。そうした支援の輪はこの鳥取市に着実に広がっています。私たちはこれからも地域食堂を応援していきます。


鳥取市地域食堂ネットワーク
共同代表
(パーソンサポートとっとり代表)
山根 恒(やまねひさし)さん

市民のみなさんから、地域食堂にたくさんのご支援をいただき感謝いたします。地域食堂は、子どもを中心にしながら誰もがワクワクする場所です。今後も市民のみなさんのご協力をいただきながら、誰もが安全で安心して過ごせる居場所づくりに努めていきます。

■ 現在本市内で運営されている地域食堂(令和3年1月現在)
地域食堂名(会場) 実施日・時間
希来里(きらり)食堂
(佐治人権福祉センター)
毎月第4(日)10:00 ~ 14:00
きりん こども食堂
(岩倉地区公民館)
毎月第1・3(水)17:00 ~ 20:00
来未完(くるみかん)食堂
(産後ケアやわらかい風)
毎月第2・4(水)17:30 ~ 20:00
けたかくるりこども食堂
(スマイルセンター浜村)
毎月第1・3(金)18:00 ~ 19:30
江山子ども食堂
(江山人権福祉センター)
毎週(水)16:00 ~ 18:30
子どもとみんなの食堂「ぽっと」
(みんなの居場所「ぽっと」)
(月)~(土)18:00 ~ 20:00
ささえあい子ども食堂
(西人権福祉センター)
毎月2回(土)11:30 ~ 13:00
サンキッズ子ども食堂
(上町屋老人憩いの家)
毎月第2・4(土)9:00 ~ 12:30
市役所すなばこども食堂
(すなば珈琲鳥取市役所店)
毎週(火)・(木)18:00 ~ 20:00
すなばこども食堂
(すなば珈琲賀露店)
毎月第2・4(木)17:00 ~ 20:00
高草ちいき食堂
(高草人権福祉センター)
毎月第1(土)11:00 ~ 13:00
たちかわこどもクラブ
(修立地区公民館)
毎月第4(木)17:00 ~ 19:00
ちいき食堂in 幸町
(鳥取市人権交流プラザ)
毎月第2・4(土)9:30 ~ 11:30
てらこやこども食堂
(デイサービスたちばな)
毎週(金)18:00 ~ 20:00
寺子屋みらい
(みらい鳥取)
毎週(水)・(土)18:00 ~ 20:00
とっとりこども食堂
(b&g鳥取)
毎週(火)18:00 ~ 20:00
にじいろcafe
(鳥取市福祉文化会館)
毎週(木)・(金)、毎月第1(土)11:00 ~ 15:00
ふれあい食堂
(河原町コミュニティセンター)
毎月第4(土)10:00 ~ 13:30