とっとり市報 HTML版
2021.10 No.1134

【特集】新たな学びの創造へ発進!鳥取市GIGA(ギガ)スクール構想

本市では、情報化社会に対応した教育を行っていくため、児童生徒に一人一台のタブレット端末を整備し、新しい学びの環境が今年4月から本格的にスタートしました。その様子を「学びの創造先進校」に指定されている鳥取市立江山学園で取材しました。

本庁舎学校教育課 TEL0857-30-8412 FAX0857-20-3952

急速に変化する社会を担っていく子どもたち

携帯電話やインターネットなどのICTの発展により、私たちの身の回りは急速に便利さを増しています。そんな中、学校教育には、Society(ソサエティー)5.0(※1)社会を見据え、子どもたちがICTを活用しながら、主体的に考え、協働していく力を育むことが求められています。

次世代を担う子どもたちが社会に適応し、よりよい社会を創り出していけるように、本市では、教育へのICTの効果的な活用を進める「鳥取市GIGA(※2)スクール構想」の実現に取り組んでいます。

※1:Society5.0
…国が提唱する、めざすべき未来社会の構想。AIや自動走行車など、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステム化により、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会。
※2:GIGA
…Global and Innovation Gateway for All の略

鳥取市GIGAスクール構想のねらい

今回の学習指導要領では、学習の基盤となる能力の一つとして「コンピュータなどの情報手段を適切に用いて情報を収集・判断・表現・処理・創造し、受け手の状況などを踏まえて発信・伝達できる能力」とされる「情報活用能力」があります。

これを踏まえて鳥取市GIGAスクール構想では、各学校で通信ネットワークを整備し、情報端末を配布したうえで、情報手段の基本的な操作を学んだり、プログラミングを体験しながら論理的思考を身に着けるための学習を行い、情報活用能力を育成します。

各教科でタブレット端末を活用することで、一人一人の反応を踏まえたきめ細やかな授業を行うことができます。個別学習の場面では、児童生徒が自ら疑問や課題について調べたり、習熟度合いに応じた指導が可能になったりと、学習内容のより確実な定着につながります。協働学習の場面では、一人一人の意見や考えを即時に共有して発表や意見交換ができるようになることで、児童生徒の思考力、判断力、表現力を伸ばします。

このように鳥取市GIGAスクール構想は、児童生徒が率先して学習に取り組み、対話を通じた深い学びを実現するとともに、自発的な活動をより充実させるため、整備した端末をはじめとするICT機器などを、日常的かつ効果的に活用していくものです。

新たな学びの創造

鳥取市GIGAスクール構想の取り組みとして、昨年度、学校の通信ネットワーク(校内無線LAN)を整備するとともに、各学校の子どもたちに一人一台のタブレット端末を配布しました。各学校では、タブレット端末使用開始から半年余りで、すでにさまざまな場面に活用しています。

入学したばかりの児童も、カメラ機能を活用した動植物の観察や、eラーニング教材(タブレットドリル)で自主学習などを行っています。また、児童生徒一人一人に配付されたアカウントを活用し、オンラインでの健康観察やアンケート、小テストなどを行っています。タブレット端末で行ったアンケートや小テストの結果は自動集計されるため、教職員の業務負担軽減にもつながっています。

今後も調査活動や話し合い活動などのさまざまな学習に端末を活用し、児童生徒の学びを充実させていくと同時に、ICTを活用した授業改善に関する教職員研修をオンラインやオンデマンドで実施するなど、教職員の指導力向上を図ります。

本市は、今後さらに学校でのICT活用の幅を広げ、実践事例を学校間で共有することで、児童生徒と教職員による新たな学びの創造を実現していきます。

鳥取市立江山学園でのICTを活用した授業の様子を取材してきました!

2年生音楽

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タブレットにはピアノの鍵盤が表示されています。インターネット教材を使ったリズムの練習も行っていました。

4年生理科

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ヘチマや夏の虫を観察した記録を作成していました。上手にタイピングをし、色を変えたり、絵文字を使ったりしながら慣れた様子できれいにまとめていました。

7年生国語

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比喩表現の学習では、自分なりの比喩表現をタブレットで作成していました。意見はすぐに共有され、他の人の考えを知ることができます。

9年生理科

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理科の実験では、顕微鏡で見えたものをカメラで撮影していました。撮影した画像を先生に送信し、各班の結果を見比べていました。

~授業にタブレット端末を活用してみて~

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江山学園4年生 森下 莉子(もりしたりこ)さん

タブレットでの学習は特に理科や音楽の授業で使うのが楽しいです。タブレットで写真を撮って実験のレポートをまとめたり、ピアノのアプリを使って班のみんなと演奏したりしています。

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江山学園9年生 藤原 大誠(ふじわらたいせい)さん

話し合いの場面で、タブレットがとても有効だと感じています。手を挙げて発言するのが苦手な人でも、文字の入力だと自分の意見を伝えることができたり、みんなの意見が目に見えたりするので、意見がまとまりやすいです。授業以外にも、生徒会活動などでも活用しています。

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江山学園 谷口 朋宏(たにぐちともひろ) 先生

今年度から一人一台タブレット端末が整備されたことをきっかけに、授業のさまざまな場面でタブレット端末を使ってみようと進めています。

初めは児童・生徒だけでなく、教員も使い方に戸惑っていた面もありましたが、徐々に活用できていると実感しています。時には児童・生徒のほうから、こんな風に使ってみては?と提案を受けることもあります。子どもたちの順応力はさすがです!

また江山学園では、今年7月に休校などの学習支援として、6年生と9年生が実験的に自宅にタブレット端末を持ち帰り、遠隔授業に挑戦しました。短い時間でしたが、映像や音声もスムーズに進めることができました。児童・生徒たちも、休校中でもクラスメイトと顔を合わせることができて楽しかったようです。